蒼き迷宮−1
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春麗はその様子をそっと見る。
「でもまだ事が起こると決まったわけではありませんわ…」
「…」
「鳳珠様、黄家の方からは、なんと…言われてますの?」
「…」
鳳珠は苦しそうな顔をして、横を向き、春麗を見た。
春麗は柔らかく微笑んでから、コツンとおでこをつける。
思わぬことに、パチパチ、と鳳珠が瞬きをした。
「鳳珠様…もし紅家と…考えが逆でも構いませんわ。父様が”桐竹鳳麟”をかけて紅家が主上に付く、と宣言された時、”一人を除いて”って言ったでしょう?あれはわたくしのことですもの」
「…あぁ…だが、そうは言っても…春麗がそれでいいのか?」
「そんなの…大丈夫ですわ。鳳珠様についていくと、随分前に決めましたから。その先が主上であれ、別の…たとえ貴族派の方であれ、わたくしには関係ありません。黎深叔父様のことがあった時に、父様にはしっかり宣言しましたもの」
おでこを離して、ふんわりと微笑んでで言う。
これ以上、優しいこのひとが傷つかないように、と想いを込めて。
「前にもお伝えしたでしょう?わたくしは…黄鳳珠の妻なのですから。父様には、どこまで…許されるかわかりませんが、あの方がわたくしを必要として、許してくださる限り、ついていくのみです、って言ったんです…だから、貴方が一緒にいていいといってくださる限りは、紅家と道を違えても、ついて行きますわ」
それから、クスクス笑って付け足す
「最も、ついてくるなと言われても、きっとついて行きますけれどね」
冗談めかして言ってから、鳳珠の髪をそっと撫でた。
「だから、一人で抱えないでください。昔、抱えられない思いを持っているなら、私が一緒に持とう、っておっしゃってくださったでしょう?わたくしも、鳳珠様の想いを一緒に持ちたいです。だから…」
「すまない、春麗…」
鳳珠はそっと腕の中に、宝物の小さな身体を閉じ込めた。