黄昏の宮ー2
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「旺季殿ー蝗害の対処。そなたに全権を一任したい。どうか」
旺季は呼ばれたのが意外そうに、わずかに片眉をあげ、皇毅と晏樹は、それぞれが素で珍しく驚きをあらわにした。
孫陵王も少々驚いた。
”蝗害を抑える力があるのが本当の王である”とわざとらしく晏樹に言われたにもかかわらず、その力を旺季に発揮させる場を自ら与えるとは。
しかも今の王を囲む状況で。
春麗は先程、見えた悠舜と今の目の前の様子を繋ぎ合わせていく。
はっと、瞠目した…が、悟られてはいけないと、パチパチと瞬きをしてごまかす。
チラリとその姿を悠舜が捉えたのが目に入った。
(気がつかれた…?)
心の中で嘆息はするが、傍目にはわからない。
気付くとしたら鋭い悠舜と…自分のことをよく見てくれている鳳珠ぐらいだろう。今は自分を見ていないから知る由もないが。
悠舜が先を見えることを知っているとは思えないが、悠舜なら何か気付いてもおかしくはない、と気を引き締める。
(この場合、”鳳麟”であることに気付いたというよりは、鳳珠様に見せている顔とは別の顔がある、必ずしも王の味方ではないということに気付いたと思われる方が自然かしら…でも鳳麟であるなら油断ならない…)
やはり余計なことを考えたのは失敗だった、気を取り直して目の前のことに集中する。
だが、鳳珠の視点からしか悠舜を見てこなかったが、反対側の視点があることにこの時期に気がつけたのは良かったと春麗は思った。
実際に、それを鳳珠に伝えるかは別問題だが…
(嘘はつきたくないけれど、鳳珠様に正直にお伝えすることはおそらくないでしょうね…)
キュ、と唇を引き結んでから、小さく息を吐いた。