黄昏の宮ー2
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「国試の時期をずらさないといけないかもしれない。あの地震で、碧州方面がの情報があまり入ってきていないらしい」
礼部の魯尚書は重く口を開いた
「そう…でしょうね。どこか崩落したり交通が遮断されているのかません。」
(羽羽様は最悪の天災の兆候がある、とおっしゃっていた…ということは、地震にそれが重なると、国試どころではなくなる…)
「今日の朝議で申し入れをしましょうか、早いほうがいいですよね」
春麗は即答した。
「例年の時期に戻す、ということで。茶州の方はすでに出ている可能性がありますから、連絡が入れ違いになる可能性もありますね。そうなると希望者には延期した春の試験時期に貴陽に来る費用を一部朝廷が負担したほうがいいですね…冬の間の課題関連で使用しない費用が出てきますが、それでは足りないので捻出するにはそれ以外の礼部の費用から何を削るか…」
ぶつぶつと算盤を弾きながら、「戸部から少しは引っ張り出せるかしら?」とつぶやく
パチパチと算盤を弾く音を聞きながら、魯尚書はふっと笑った
「全額負担すると、他州の反感を買うだろうから、礼部内でできるところまででいいだろう。現時点では茶州にもまだ言わないほうがいい。紅侍郎が戸部官でよかったな、流石に早い」
「ありがとうございます。概算でざっとこれぐらいです。費用の使い道が変わるので、茶州府から要請があったら一応戸部に確認は取ります。最も、櫂瑜様なので、なんとかなさるとも思いますけれど」
朝議では魯尚書が報告し、あっさりと了承された。
悠舜は了承の際にもっともらしく地震を理由としていたが。
(既に、尚書令は天災の兆候もつかまれているということね…最悪の天災といえば蝗害かしら…対策は御史台でしたっけ…)
聞いたところで教えてもらえる相手ではない、と考えていたら、自然と視線が皇毅の方に向かっていた。
視線に気が付いたのか、目が合う。
誤魔化すように魯尚書の方を向き、「各州府への案内をすぐに作成しましょう」と話しかけた。
茶州に届ける分に添えるように、櫂瑜へ近況の知らせをする。
朝廷のきな臭い状況を書きながら、羽羽の言葉も添える。
書きながらふと、蝗害担当が御史台なことを思い出し、秀麗から影月にも同じ話が入っているかもしれない、と思った。