黄昏の宮ー2
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翌日、朝から羽羽を訪ねると、かなり草臥れた表情で迎えられた。
(やはり何か…)
羽羽は人払して、春麗に椅子を勧めた。
「春麗殿、もしや昨夜の地震の件で何か聞きにこられたか?」
「はい…やはり、何かあったのですね?」
「えぇ…ただ、春麗殿でもそれはお話しできません」
「…どこかの神域が破られましたか?」
羽羽は目を見張った。
春麗はふっと笑う。
「何故それを?と思われましたか?わたくしに話せない、という時点で、神域についてのことかと…知られないようにされてこられたことだと思いましたので」
「そう、ですか…」
ふと、羽羽は春麗を見た。
さまざまな思いが巡る。
(春麗殿はおそらく…千里眼がそうであったように、後天的に離魂を身につけられる…それはさせたくない…いや、”誰が”、”何のために”を知るには、春麗殿に託したほうがいいのか…?)
しばらく考えが行ったり来たりしていたが、迷いを打ち消すかのように一言告げた。
「残念ながら、私も詳しくは分からなかったのです」
「…場所は碧州、ですか?」
「春麗殿…」
「昨日、気になったので各州をざっと見たのです。一番被害が酷かったのが碧州だったので…」
神器のことからわかったわけではないと理解した羽羽は、少し安堵の息を漏らした。
「ですが、神域で起こったことだと…誰かが目的を持って起こしたことかもしれませんね…」
「それ以上は…」
「わかりました。羽羽様を困らせたいわけではありませんから…わたくしに神事や術が使えるわけでもありませんし」
ようやく引き下がった春麗に、羽羽は少し申し訳ないような気持ちになりながら、罪滅ぼしのように一言呟いた
「これとは別に十数年出ていなかった最悪の天災の兆候が出ています。お気をつけください」
春麗は目を見開いてから…深々と一礼して、仙洞宮を出て行った。