黄昏の宮ー2
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まだ少し震えている春麗に「大丈夫か?」と鳳珠は声をかける。
「えぇ…あまり地震を経験したことがないのですけれど、今の揺れは、なんだか変な気がして…でも何かわからないんです…それで…」
(春麗にはまだ何か別の力があるのか?)
鳳珠は心中でため息をついてから、廊下から再び声がかかったので仮面をつけた。
「瑞蘭、温かい茶を頼む。少し春麗が驚いているのでな」
「かしこまりました」
程なくして、春麗が好きな白茶を淹れて瑞蘭は戻ってきた
「白茶には心が落ち着く効果もありますし、春麗様がお好きですからこちらにしましたわ」
「ありがとうございます。すみません、ちょっと動揺してしまって」
「あれだけ揺れたら仕方ありませんわ。侍女たちもかなり騒いでましたもの」
ごゆっくり休んでください、と瑞蘭は出ていく。
鳳珠は仮面を外して茶器を春麗に渡してから、自分も手に取って飲んで春麗の様子を見る。
しばらくの間、お茶を飲みながら一点を見つめていた春麗が、ハッとした表情で顔を上げた。
「どうした?」
「秀麗が御史台で調べていた”何か”について、これ以上、知られては困ることがあったのではないかと思って…縹本家に行ってしまったら治外法権、後宮に入ったほうが殺すには早い、となると死亡を確認するか…縹本家から出ない、というのでもいいのかもしれない…」
当然の話に鳳珠は一瞬驚いた表情をしたが、とりあえずそのまま話を引き継いだ。
「秀麗はやるとなったら徹底的にやるからな…”何か”を企んでいる奴には最悪の相手でしかない、ということか。その前に消す、と…後宮入りを言い出したのは凌晏樹だったよな」
「はい…」
ふぅ、と鳳珠はため息をついた。
そして春麗を見て抱き寄せた
「お前は聡い、だがそれは気づかれないように上手く隠してくれ。春麗まで消されかねない」
「大丈夫ですわ。邪魔をしなければ…おそらく。贋金騒動から続く一連の流れが戦の準備だとしたら、ね。ただ…この地震との繋がりが分からなくて…羽羽様に聞きに行ってこようと思います」
「かぎ回っているのが知られたら危ないぞ」
「大丈夫ですわ、あそこへは何度か足を運んでいるので唐突感はないですし、そこに疑問を持っていることまでは流石に悟られませんわ…」
鳳珠は春麗に回した腕の力を再び強めて、肩口に顔を埋めた。
「頼むから無理はしないでくれ…」と言いながら。