黒い蝶ー3
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ーーー恭順の礼
春麗以外の誰もが絶句する中、邵可だけがやはり動じることなく、静かに頭を垂れた。劉輝へと。
「今回の件、すべて王を王と認めぬ非礼によるもの。いつに間にか紅家の誇りは他を見下し、情けのない傲慢さに落ちてしまったようです。ですが主上は紅姓官吏をお赦しくださり、もう一度自らの恥を雪ぐ機会を与えてくださいました。許されるならば、紅家にもその機会をお与えいただきたく存じます。…我が名と紅一族、紅家直紋”桐竹鳳麟”、他ならぬ陛下に捧げさせていただくことを、どうかお許し願いたいと思います」
「余にか…」
「はい、”この場にいない娘”が認めた、ただ一人の我が君へ」
ーー紅秀麗、そう誰かがつぶやく声が聞こえた。
「お許し願えるでしょうか、主上」
柔らかな邵可の声に劉輝は俯いた。
答えは一つしかなかった。
「…許す」
「かたじけなく存じます。これより我が紅一族、一名を除きうちそろい、心身を賭して御君に忠誠を尽くし、御代の支えとなることをお誓い申し上げます。紅家直紋”桐竹鳳麟”を我が君へ」
ーー紅家は紫劉輝につくと、邵可は示したのだった。
そして、そこから名を出さなかったが…春麗を外した。
あまりの衝撃に、それにに気がついた者は少なかった。
その中には劉輝も含まれていた。
春麗は一度瞳を閉じた後、邵可を真っ直ぐと見据えてぱらりと黄色い扇を広げ、引き結んだ口許を隠すようにに当てた。
その姿を、旺季、晏樹、皇毅、そして羽扇で口元を隠した悠舜が、面白いものでも見るように見ていた。