黒い蝶ー3
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ざわめく玉座の間に、王の入殿を告げる声が響く。
みるみる静まり返る中、劉輝はあんまりにもまじまじ邵可を身すぎたせいで、けつまづいて転びそうになった。
(邵可が紅家当主?アリなのか?いや確かにアリかナシか問われれば、むしろ紅黎深が紅家当主という方が遥かにそれナイでしょ、という気もするが、いやしかし…)
先に動いたのは邵可だった。
「このような最中、拝謁をお許しいただきありがたく存じます。この度、不肖の弟紅黎深に代わり、新たに紅家当主を継いだ紅邵可にございます」
さざなみのように動揺が広がる。
劉輝はかろうじて聞けた。
「紅家当主は紅黎深殿のはずだったが」
「弟には一連の不始末の責任を取らせ、紅州に帰還後、即刻当主を返上させました。もともと私と弟が紅州に駆け戻ったのは、そのためでもありました。紅本家にて就任式も終え、私の二人の娘を除き、一族への通達も済んでおります。今は私が正式な紅家当主です。そのご報告と、何よりも今回一族がしでかした数々の不祥事に対する謝罪のために参った次第です」
(私たちにだけ通達を出してない?どういうこと?)
と考えたが、もしかしたら父にいつぞや”黄鳳珠の妻”であると宣言したことによって来なかったのではないか、とふと思いついた。
だがそれにしても二人に出さなかった理由は…と瞬時に思いを巡らす。
最も、父のことなので忘れていただけかもしれないが。
春麗がそんなことを考えている間に、ざわめくよりもしんと静まり返ったほどの衝撃がその場に走った。