黒い蝶ー3
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柚梨が帰った後、仕事室で文字通り仕事をしていたら、しばらくしてから家令がやってきた。
「奥方様にお客様が」
「わたくしに?こんな時間に?」
「紅秀麗様です」
鳳珠と春麗は顔を見合わせる。
「侍童で来たときの邸、と気づいていないのだろうか?」
「あの時は確か裏口からで離れでしたからね…今日は正面から来たのでしょう?」
家令ははい、と答えた。
「なんとなく私は出ない方がいいだろうな、紅家の話か、後宮入りの話か…先に湯浴みでもしている」
「分かりました…とりあえず、行ってきます」
家令が通していた応接の前に、瑞蘭がいた。
「ありがとうございます」と言ってから、入れ違いで中に入る。
「どうしたの、秀麗?」
ちょうど出されたお茶を飲んでいるところだった。
「春麗…ごめんなさいね、こんな時間に、急に……今しか機会がなかったのよ。なんか不思議ね、準禁色の黄色い衣を着ている春麗を見るなんて」
「あぁ…そうかもね。わたくしもようやく慣れてきたかしら。気分でたまには帰ってから紅や違う色も着ているんだけど、ね」
椅子に座って、自分もお茶を飲む。
「この前、具合が悪かったと聞いたけれど、もう大丈夫なの?」
「えっ?」
「リオウ殿がね、あなたが三日三晩寝てた、と」
「あぁ、うん、もう大丈夫よ」
確かに、とりあえず顔色もだいぶいいので問題ないのだろう。
「それで…わざわざここに来て、何か話があったんでしょう?尚書はお仕事されているから気にしなくていいわ」
「あのね春麗、春麗はどうして結婚しようと思ったの?」
紅家とか黎深のことでも聞かれるかと思っていた春麗は、想像の斜め上をいった質問に、きょとんと黙ってしまった。