黒い蝶ー3
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「鳳珠、春麗ちゃんは…」
「紅家には”影”と呼ばれる集団がいる。大方、邵可殿へ届ける文を出しているのだろう。知っての通り、邵可殿は退官して紅州に帰っているからな」
「秀くんもなかなか働きますが、紅家の次世代の頭脳はある意味、春麗ちゃんでしょうね」
「あぁ、黎深は”天つ才”だが、同時に”無関心”だ。その点、春麗は必要なものへの関心は寄せるからな。秀麗は何にでも関心を寄せすぎて遠回りするが」
柚梨はうまいこというな、と思ってちょっと笑った。
「用事は済んだか?」
戻ってきた春麗に声をかけると、「はい」と頷いた。
食事をしながら、ぽつぽつとこれからの話をする。
「鳳珠、あなたはどうするんですか?」
「…今のところは、私は悠舜がいる間は悠舜をささえたい。だが…それは私の勝手な思いだ。柚梨も春麗も自分の思うところに行くといい」
春麗はそっと目を伏せた。
柚梨はその様子を見て少し不安に感じる。
今日も、紅家のために頭を働かせて、動いている春麗。
鳳珠と道を違えることはあるのだろうか…
「春麗ちゃんは?」
「柚梨様、それは聞いていただくまでもありませんわ。わたくしは…黄鳳珠の妻ですから。わたくしは紅家と道が異なっても、鳳珠様についていきますし、その選択肢以外はあり得ませんわ」
即答だった。
柚梨が、そして鳳珠も少し目を見張る。
「すでに、黎深叔父様の件があった時点で、父様にははっきり伝えてあります。黎深叔父様には言っていませんけれど…まぁ下手に言うとそのまま拉致されるのは目に見えているのであえて言わなかったというのが本音ですが…叔父様のことですから、言わなくてもわかっていらっしゃいますわ」
にっこりと綺麗に笑ってから、采に手を伸ばす。
「鳳珠、よかったですね」
鳳珠は口角を上げて頷いただけだった。