黒い蝶−2
名前設定
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戸部尚書室に戻って、春麗は扉を閉めた。
執務室で甘えることはほぼないが、今だけは許してもらいたい、と心の中で呟いてから、机案に向かう鳳珠の後ろから抱きつく
「ごめんなさい…」
鳳珠は仮面を外してから、くるりと春麗の方をむいて、ふわりと抱く。
「いや、あれでいい。あれで気がついた者はいるだろうし、異動させられることもあるかもしれないが…まぁ断るがな。官吏同士の結婚は法で整備してあるので問題ない。しかし、春麗は私のものだとわかっていても、あぁ名前が出ると焦るものだな。凌晏樹は本当に知らなかったみたいで余計なことを言ってくれた。上手く誘導してくれたリオウに感謝だ」
少し震えている春麗の背中をそっと撫でて、安心させる。
「とはいえ、リオウの発言がなく、お前が何も言わずに扇も出さなかったら、私が言っていたしな」
そうなの?と春麗は顔をあげて首を傾げる
「当たり前だろう。いつも言っているだろう?私の春麗だ。決して手放すことはない。春麗も私から離れるつもりはないだろう?」
コクっと頷いた春麗の顎を、鳳珠の長い指が掬って上をむかされた。
そのまま降ってきた口付けを受けながら、春麗は最近すっかり心が弱くなってしまっている自分に情けなく思いながらも、震えを止めるように、鳳珠の背中に回した腕にぎゅっと力を入れて抱きしめた。