はじまりの風−3
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
起き上がって3日目の朝、まだ薄暗いうちに起き出して侍童の格好になるために準備をする。
衣裳棚を見たら、真新しい侍童服が入っていた。
(叔父様かしらね?)
パキッと心機一転、という感じがしていい。
そっと後宮を抜け出し、早めに外朝に入った。
戸部の扉をそっと開け「おはようございます」と声をかけて入室する。
ちょうど、黄尚書が出仕してきたところらしく、尚書室の扉は開けたままで、荷物を広げているところだった。
「黄尚書…おはようございます。今日から復帰します。あの、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。助けていただいたと聞きました」
ぺこり、と頭を下げる。
「天寿…」
近くに寄ってきて、肩をガシッと掴まれる。
「もう大丈夫なのか?」
「はい。お見舞いもありがとうございました。」
「そうか、よかった」
と言って手を離し、頭をぽんぽんされる。
それだけのことが、すごく嬉しい。
「辛かったり具合が悪かったら、すぐに言え、無理はするな」
「はい。まず、みなさんが出てくるまでお片づけしていますね」
棚の整理をしたり、料紙を補充したり、お茶用にお水を汲んできたり。
軽いことから鳴らすように身体を動かし始める。
しばらくして、
「天寿くん!心配しましたよ!もう大丈夫なのですか!?」
と景侍郎が声をかけてきた。
「はい!おやすみしてしまって、申し訳ございませんでした。もう大丈夫です!またよろしくお願いします!」
「それならよかった。でも、病み上がりですから、無理はしないでくださいね」
「はい!」
(なんか、心配してもらえるのって嬉しいのね)
ニコニコと仕事を片付けている様子を、尚書と侍郎は目を合わせて安心したように嬉しそうに見ていた。
「鴻臚寺に行って、”相変わらず頭が腐っているのか”と伝えてこれを返せ。礼部と兵部は届けるだけでいい。戻ってきたら工部と吏部への書簡を出す、行ってこい」
「いってきます」
(初日から人使い荒い〜〜〜〜まぁ一度戻したのは様子見ってことかしらね?フフ、やっぱり優しい)と早歩き最短ルートで目的地を目指す。
一度戻ったら案の定、様子を聞かれて次の仕事、を繰り返し、午後は片付けや書簡整理。
疲れない程度に上手く配分してもらって、いつものようにお茶を出したり残りの仕事をしていたら定刻になった。
「天寿」
呼びかけられて尚書のところへ行く。
「無理はしなかったか、大丈夫か?」
「はい」
「よくやった」
今度は頭を撫でられた。
「今日は緊張していただろうから、よく休め。明日以降も、辛かったらすぐいうように」
「はい、ありがとうございます」
復帰一日目は無事に終わった。