黒い蝶−1
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「当て付けやら示威行為でも、今回のは洒落にならん。紅家がどこまでやるのか知らんが、冬を目前に物価の高騰は大問題だ。紅姓官吏は残らずクビにすれば済む話だが、こっちは紅家と話をつけなければ解決しないだろうな。今日明日にでも朝議にこれを報告し、ギリギリまで戸部および朝廷と貴陽全商連で物価の高騰を抑えてもらう。時間はない。その間に清雅はこの件を徹底的に調べろ。紅州に乗り込んで、紅家を潰すつもりでやれ」
「わかりました」
皇毅は注意深く見ていた。
わずかに身じろいだ秀麗と、全く動じなかった春麗を。
「お前はどうする?お前の父も先日辞職して紅州に戻ったんだったな」
秀麗は唇を噛んだ。
だがここでも皇毅は秀麗に話しかけながら、明らかに視線は春麗を見ていた。
目があった春麗は黙ってうなずく。
皇毅は顔を秀麗に向けて続けた。
「クビを免れて朝廷に残る紅姓官吏はお前と…紅春麗くらいしかいなかろう。特にお前は御史台にとっては紅家直系として利用できる貴重な手駒だ。清雅と組むか?」
流石に柚梨が止めようとしたが、それを春麗は手で制して首を振った。
同時に、秀麗は肚を決めた。
「やります。私は紅一族である前に、官吏ですから」
皇毅が双眸を笑ませたのを見て、柚梨は驚いた。