白虹は黎明にきらめく−3
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「そういえば…もう一人の姪から、今回、叔父様のことをずいぶん聞かれましたわ」
「なっ」
黎深はアタフタと狼狽えた。
「そうだよ黎深、秀麗ちゃん、吏部尚書に嫌われてるから会ってくれないって悲しそうに言ってたよ」
「お前も話したのか!」
「当たり前じゃん!絳攸のこと助けてくれたのは秀麗ちゃんなんだからね」
百合は呆れた眼差しで黎深を見る。
「全く。貴陽で何やってたんだか、って驚いちゃったよ。落ち着いたら私と話したいと言ってくれたらから、私は会うからね」
「だめだ!」
春麗は二人のやりとりをくすくすと笑いながら見た。
「まぁ、叔父様が思っているほど秀麗の印象は悪くなさそうですから、早めに会ってあげてくださいね。あと、可愛い姪のわたくしから黎深叔父様への贈り物ですわ。わたくしが帰ってから開けてください」
と懐から包みを出して渡した。
「では、お邪魔いたしました。叔父様、すぐに紅州に帰られるのでしょう?連絡は影にお願いして文で出しますわ。叔母様は?」
「私は残るよ」
「では、また会いにきてもよろしいですか?」
「もちろんだよ春麗」
そっと抱きしめて、百合が春麗を送って出た。
残った黎深は包みを開く。
生成色の手巾に梨の花を挟んで、李と林檎の花が刺繍されていた。
「春麗…」
流石の黎深も、この時ばかりは瞳を閉じて、ほんのわずかだがー黎深にとってはほぼないと言っていい、湧き上がる思いと心の中で戦うこととなった。