白虹は黎明にきらめく−3
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
定刻になって、「仕事を持ち帰るから、早めに上がって帰りに黎深の邸に寄らせてほしい」と鳳珠に頼んで、春麗は先に宮城を出た。
俥の中で持ってきた服に着替える。
散々迷って選んだのは、鳳凰の地模様の入った黄色の衣だった。
久しぶりだが勝手知ったる黎深邸・門番は黄色い衣装の春麗を見て驚いたが普通に通してくれた。
通された室で座ってぼんやりと待つ。
「春麗の室はそのままだから勝手に使っていればよかったのに」
百合は笑いながら入ってきて、「ほんとに黄家に嫁いじゃたんだねー」と今更ながらに言った。
そういえば、結婚してから会うのは今回ー四日前の府庫初めてだったのを二人は思い出した
「改めて結婚おめでとう春麗。こんなだからお祝いがまだでごめんね」
「ありがとうございます。構いませんわ」
談笑していたら黎深が入ってきた。
「春麗!」
抱きしめにかかるのを百合が間に入って剥がす。
「だめだよ黎深!春麗は鳳珠さんのなんだから!」
「誰があんな奇人変人認めるものか!」
「叔父様。今はお話が先です」
春麗が絶対零度の空気を纏って椅子を指さした。
「わ〜春麗、そんなところ黎深に似なくてよかったのに…」
百合がなんだか憐憫の目で見てくるのに、ちょっと視線を泳がせたが”似てる”と言われて黎深は喜んでいた。
「これからのことを、教えてください」
「紅州に帰る」
「なぜ?」
「やりたいことがある。それと、調べることと」
「黎深叔父様が必要だと感じたら…それをわたくしにも教えていただけますか?」
「もちろんだとも」
春麗はにっこり笑って、礼を言った。
「ふん、当たり前だ。お前は私の可愛い姪だからな」