白虹は黎明にきらめく−3
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四日後の朝ー
出仕前に春麗は鳳珠に「お渡ししたいものが」と言って、薄い包みを手渡した。
「ありがとう。開けても?」
開けようと鳳珠の長い指が包みの組紐に手をかけようと伸びたところで
「いえ、開けるのは後ほど…開けたいと思った時に開けてください」
春麗が遮った。
「何やら、意味深だな」
触った感触でものが何かの想像はついているだろう。
だが春麗はフフと笑って、何も言わなかった。
「では、後での楽しみにしておこう」
鳳珠は大切そうにひと撫でしてから、懐にしまった。
鳳珠は俥に乗り、春麗はいつものように珀明との待ち合わせ場所に行く。
絳攸が捉えられてから意図的にその話題を避けてきたが、今日は話しておかないと…と、どこから話すかを考えながら向かった。
「おはよう、お前、また夜更かししてたのか?目の下にクマができてるぞ」
「おはようございます珀明さん。ちょっと夜鍋をね…」
「夜なべ?」
「えぇ、刺繍を少し…今日に間に合わせないといけなかったので、急いでいたんです」
うまい具合に珀明が話を振ってくれたので、便乗する。
「なんでだ?」
「今日…動きがあるからですよ。絳攸兄様の件で…時間はわかりませんけれど、すぐにわかります」
「なんだよ、そこまでいうなら全部言えよ」
「吏部に動きがある、とだけ。それまではあまり出歩かない方がいいかもしれません」
怪訝そうな顔はしたが、春麗の立場だといろいろ情報も入ってくると思っている珀明は、それ以上聞くことなく、黙って頷いた。