白虹は黎明にきらめく−3
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絳攸が目覚めた後、百合はその場にいたリオウに向かって
「紅春麗に会いたい」
と伝えた。
礼部や戸部に連れていくわけにいかないから、と府庫に連れていく。
「おや、百合姫…」
「邵可様、お久しぶりです」
「この方が、紅春麗に会いたいというので、連れてきた。少し奥を借りてもいいだろうか?」
「もちろんですよ、どうぞ」
邵可は案内をしてから、春麗に至急来るように遣いを出す。
その後、やつれきったリオウを見て父茶を淹れようとしたが、遣いを出しているうちに百合とリオウが用意してしまっていた。
「リオウ殿はお疲れのようだから体にいいお茶を入れてあげようと思ったのに」
「いや…大丈夫だ。李絳攸も目覚めたし、あとは二人でなんとかするだろう…」
「本当に今回は絳攸と馬鹿黎深が迷惑をかけて…」
百合はぐったり、という感じで項垂れた。
「いや、百合姫にもね。玖琅も怒っていただろう?」
「ええ、それはもう…でも本当は玖琅がこっちに来たかったと思うのよね。細かい様子は春麗が影を使って送ってくれていたから、移動中に大体の様子が知れたのは大きかったわ」
「紅春麗は一度も李絳攸のところにはこなかったな」
リオウが思い出したようにいう。
「行けなかったんだろうね、あの子は黎深と近いから御史台が見張っているだろうし、朝廷内の詳しいことはわからないけれど、黎深側の人間と見られているだろうからね。秀麗ちゃんとは一度会ったみたいで、その時に聞いたらしくて、絳攸が暗示にかかっているのを教えてくれたのも春麗よ」
「さすがだね百合姫、その通りだよ。春麗がそう言っていた。それに…」
邵可はその話をした時のことを思い出した。
あの時初めて、春麗が”黄鳳珠の妻”として動くことを宣言した時だった。
「それに?」
「いや、なんでもない」
すぐに扉が叩かれた。
邵可が出ていって開けると、春麗が息を切らして立っていた。