白虹は黎明にきらめく−3
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帰邸して食事の後、鳳珠はたいてい室にこもって文を書いていた。
実家、黄本家、その他もろもろ…
特に本家や実家からの文が届いた日は、寝るのも忘れて手を動かしているので、家令からそっと教えてもらって、頃合いを見て春麗が止めに行ってそのまま寝かせることが続いていた。
春麗はそれまでの間、急ぎの仕事がない日は自室で刺繍をしている。
ようやく、今日の帰りに鳳珠に聞き出せたことを思い出す。
「鳳珠様は、なんのお花が好きですか?」
「花はなんでも好きだが…今は薔薇だな、お前を思い出す」
「まぁ…薔薇以外では?木に咲く花…果物の花だと何が好きですか?」
「ん?そうだな…林檎か桃だな…だが桃は…凌晏樹を思い出すから、林檎だな」
色が綺麗で可愛らしいのもいい、ということだった。
李、梨、林檎…
配色的には少し桃色の入る林檎を真ん中にすべきなんだろうけれど、梨が真ん中でないと意味がない。
同じものを三枚…あとは林檎だけ刺せば完成だ。
しかし、今日、百合から文が来た。
明日には紫州に着くから、絳攸がいる御史牢へ行くと。
絳攸が目覚めるのはもうすぐだろう。
そして御史大獄の日まで、残された時間はそんなにない。
(少しだけ寝る時間を削ってでも急がなければ…)
なんとか一枚完成させて、鳳珠の室へ足を運んだ。