白虹は黎明にきらめく−2
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「おい黎深!!貴様は一体何をしている!!」
怒声とともに吏部尚書室に入り、鳳珠は机案越しに黎深の胸ぐらを掴んだ。
尚も話す鳳珠を無視し、腕をもぎ離した。
「ーーだからどうした」
「…だからどうした、だと?お前は…何が起こるか知っていてー知っていて、何もしなかったのか。李侍郎を守ろうともせず、全ての仕事を放棄したのか。悠舜を助けるどころか、窮地に追い込んでー」
鳳珠は叫んだ。
「ーーお前は、どれだけ私たちが悠舜に救われたと思っている!!」
鳳珠も黎深もいつも異質だった。どこにいても溶け込めないまま。
国試で悠舜と出会い、初めて友人と呼べる存在を得た。
「見損なったぞ黎深!!貴様はなんのために今まで吏部尚書でいたんだ!」
「いけません鳳珠!!」
殴りかかる寸前で、柚梨がすがりついて止めに入った。
「やめてください、あなたまで御史台に目をつけられます!」
「くっーー」
鳳珠は拳を下ろしたと同時に、何をしてももはや無駄だと悟った。
下された拳を、そっと春麗が握って、握りしめた指を開く。
それはほんのわずかに鳳珠が冷静さを取り戻すことにつながった。
「…おや、騒がしいと思ったら戸部尚書でしたか、うちの尚書がまた何かご迷惑をおかけしましたか?いるだけでもう傍迷惑で申し訳ありませんね」
「楊修殿…」
柚梨がきっと睨みつけた
「その言い様はなんですか、あなたの上司ですよ。敬意を払って接しなさい!」
「景侍郎、あいにくですが、私の認めた人でなければ、たとえ上司だろうが敬意を払う気はこれっぽっちもない人間だと、あなたもよくご存知でしょう。私はね、もうこの人に何かを期待するのはやめたんですよ。それだけです」
もう怒ることさえやめたのだと
「ーその通りだ、行くぞ、柚梨、春麗」
「鳳珠…」
鳳珠は身を翻し、吏部尚書室から出て行った。
柚梨と春麗も後を追った。