白虹は黎明にきらめく−2
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「兄様を拘束したのは御史台、なのね」
「あいつは知っているのか?どうなっているんだ!?」
「珀明さん、落ち着いて…秀麗はまだ貴陽に帰ってきていないわ。王も。おそらく、まだこのことは知らないでしょうね…」
そもそもの話をわかっていない珀明に、柚梨がかいつまんで藍州に行っていることを説明する。
「おそらく、秀麗がこのことを知って放っておくことはないでしょうね。所属の御史台が動いていることを真っ向から反対する、ということができるかどうかわからないけれど」
「葵皇毅が簡単に叩き潰して終わりだな」
忌々し気に鳳珠が言った。
「それにしても、藍家に続いて紅家ですか…」
柚梨がため息を吐きながら呟く。
その言葉を耳に留めた珀明が、はっとした顔をしてから何やら悩んでいるかのように下を向いて考え込んだ。
ややあって、意を決したかのように姿勢を正して口を開く。
「黄尚書、折り入って伺いたいことが…」
「なんだ?」
「その…黄州から何か…ご実家や黄家から文が来たりはしていませんか?いえ、はっきり申し上げますと、少し前から碧家から帰還命令やそれに準じるような文が私や欧陽侍郎のところにで始めたんです。正直、ご存知の通り政治にものすごい疎い実家にしては何かおかしい、と思っており、また私が去ることで数は多くないですが碧系の官吏の退官に繋がってしまうので、現時点では握りつぶしていますが…」
「そうか…」
鳳珠は少し目を閉じて考え込んだ。
確かに、実家からの文でも触れられているが、まだ口にするのは早いだろう。
(春麗がどう思うか…)
「鳳珠様」
春麗が声をかけた
「わたくしに…気遣いは不要ですわ。碧家ですらそのような御文が出ているのであれば、黄家ならもっと早く出ていてもおかしくないですもの…」
鳳珠は少し眉間に皺よをせてからふと思い出したように口を開いた。
「碧官吏、先程、何かおかしいと言っていたが、あれはどういうことだ?」
鳳珠が少し論点をずらしながら問う。
「碧家はご存知の通り芸術家の家です。基本的に政治は興味がない。私が官吏を目指したのも、芸術的な才能がなかったことと、もう一つ、碧家の芸術が政治利用されないよう守るためでした。中央にいるのは欧陽侍郎と私、戸部の碧遜史のほか数える程です。それにもかかわらず、先ほども申しましたが…政治に疎い碧家がこんなに早く手を回してくるということは、どこかから何か情報が出ていたり、指示のようなものがあったのか気になったのです」
「そうか…確かに、そういう見方もできるな…」
「他の家はどうなんでしょうね?うちくらいの中流貴族にはあまり影響は出ないと思いますけど…」
柚梨はぽつりと呟いた。
「高官がいないのは茶家だけだな…あそこは当主が変わったばかりでまだそこまでは手が回ってないだろう」
鳳珠は冷静に分析をしながら、ふと思い出す。
茶家、に反応した珀明が春麗に聞いた。
「春麗、櫂州牧とは時折やりとりしているんだろう?何か書かれていたか?」
「ここのところの動きはまだ…でもちょうど大きく動いたのでお伝えしなければと思っていたところです。明日にでも早馬で出しますわ。茶家の当主なら秀麗が仲がいいみたいですけど、政治的なやりとりはなさそうですわ」
と考えながら答えた。
珀明も何か思いついたのか、
「俺も小動物に文を書きたいから、一緒にのせてくれるか?」
と頼んだ。