白虹は黎明にきらめく−2
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「李侍郎が…」
ただならぬ様子に春麗を追ってきた柚梨が背後にたちすくんで呆然とした。
「景侍郎、少し侍郎室をお借りしてもいいでしょうか?珀明さんと話がしたいです」
柚梨はちょっと顔をあげて、
「あぁ、構いませんよ」
答えた。
「私も、入れてもらえるか」
「黄尚書!」
珀明が立礼した。
結局、4人で話すことになり、尚書室にはいる。
春麗はさっとお茶を用意し始めた。
鳳珠は茶を飲むために仮面を付け替えようと、立ち上がって少し離れてから珀明に背を向けた。
その姿を一拍ほど見た春麗が、絳攸の件で重苦しい空気の中、突然声をかける。
「尚書、付け替えないで外してみては?」
「なにっ」
「欧陽侍郎も大丈夫ですし、珀明さんも碧家の方で碧幽谷様の弟ですから大丈夫だと思いますの」
仮面の紐だけ外してしまったためずり落ちないように抑えながら、鳳珠がゆっくり振り返った。
提案した春麗はニコニコしながら近づいていく。
「確かに、欧陽侍郎は大丈夫ですが…」
柚梨が不安気に鳳珠と珀明を見比べる。
少しの沈黙の後、珀明は言葉を選びながら答えた。
「え、と…別に仮面のままでいいですよ?ただ欧陽侍郎からは、黄尚書のお顔については何度も話は聞かされていますが…」
珀明は熱弁を振るっていた玉を思い出す。
鳳珠が春麗を見ると、微笑みながら、黙って頷いた。
「春麗…碧官吏が倒れたらお前のせいだからな」
「その際は責任を持って介抱して元に戻しますわ」
なんの根拠もなく答えている様子に鳳珠は小さくため息をついてから「知らんぞ」と言って、仮面を外した。
「・・・・・・」
(それ見たことか)と鳳珠は心の中で毒づき、(やっぱりダメか…)と柚梨が小さくため息をついた。
春麗はニコニコしてみている。
珀明は春麗の方を向いて徐に尋ねた。
「お前、この方と毎日生活してるって、どういう気分なんだ?」
「えっ…?」
「お前もかなり美人だと思うけど、もはや人外の美貌の持ち主じゃないか?」
「もちろん、お顔も好きだけどそれだけじゃないから…あぁそういえば、欧陽侍郎から”あの美しい方に相応しいようにきちんとお手入れをして綺麗にしているように”って大量に化粧品を頂いたことがあったわね。」
「身内ながらあの人はまたちょっと独特だからな…それにしても本当に美しいな。黄尚書なら男は描かないという姉が描くというかもしれない…」
二人の会話が思っているところと全く異なった方向に行ったのに面食らいながら、鳳珠と柚梨は顔を見合わせた。
「大丈夫、って言ったでしょう?」
春麗は嬉しそうに二人に向かう。
「えぇ…間があったから心配でしたが、倒れなくて良かったです」
「あ…すみません。ちょっと想像していた方向と真逆だったので驚いていて…でも、確かに見惚れますし、倒れてしまう気持ちもわからなくはないですね…」
珀明は柚梨の言葉を受けて答えた。
「さて、お茶も入ったことですし、お話戻しましょうか…」
春麗は満足気な笑顔から、一気に表情を引き締めた。