白虹は黎明にきらめく−1
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「御館様、今晩はわたくしどもが奥方様を見ていますから、お休みになられては?」
「いや、大丈夫だ」
春麗の顔に手を当てる。
いつもより少し低いが、だいぶ体温が戻ってきているらしい
「おそらくもう大丈夫だろう。流石に暑いな、火鉢も外に出しておいてくれ」
「本当ですか?葉医師を呼んだ方が良いのでは?」
「明日の朝も具合が悪かったらそうしよう。だが体温が戻ってきてるから大丈夫だろう」
侍女たちが下がった後、鳳珠は春麗の隣に横たわった。
(おそらく、長い時間、力を使って先を見ると体力を消耗するのだろうか…これを葉医師に言ってわかるものなのだろうか?それとも羽羽仙洞令尹の方がいいか…)
自分の体温を分け与えるかのように春麗をしっかりと抱きしめて、鳳珠も瞳を閉じた。
翌日、だいぶ顔色が良くなった春麗は鳳珠と俥で出仕した。
そのまま、仙洞省に連れていかれる。
「鳳珠様?」
尋ねた春麗には答えずに、中に入る
「朝早くに申し訳ない、戸部の黄奇人です。羽羽仙洞令尹はいらしてますか?」
奥から仙洞官が出てきて、室に案内された。
「おや、珍しい」
「朝早くからすみません、お聞きしたいことがございまして」
椅子に促されて、座りながら早速とばかりに昨夜の件について鳳珠が話す。
「よく気づかれましたね。黄尚書の推察通りでしょう」
やっぱり、と思いつつ、鳳珠は小さくため息をついた
「春麗殿、力の使いすぎはよくありません。あなたの体力を奪っていきます。どんなに長くても一日一回、一分以内にしてください。本来なら、その力…千里眼はあまり使わない方がいいですね。まだ貴陽はいいですが、外へ出たらもっと体力を消耗します。もう一つの方は生まれた時から持っているので特段問題はないと思いますが」
「そ、うなんですか…」
春麗は小さく答える。
「今もまだ本調子ではないでしょう?多分、今はこっちに葉医師がいると思うので、もし具合が悪くなったら見せるといいでしょう」
「葉先生ですか?」
「えぇ、彼なら見立ては間違えないでしょうから」
鳳珠と春麗は少し不思議そうな顔をしながら見合わせた。