白虹は黎明にきらめく−1
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから程なくして、春麗は秀麗からの文を受け取った
”父様が旅にでたと書き置きがありました。いつもの府庫籠りだと思います。
私もこれから仕事で藍州にいってきます。お土産は藍鴨の卵と猿のキノコの予定です。
春麗も忙しいだろうけれど頑張って 秀麗”
春麗はまたしてもぐしゃっと文を握りつぶした。
「今度は何があったんですか?春麗ちゃん」
柚梨が心配そうに確認する。
「父に続いて、秀麗が…藍州に行ったそうです。御史台の仕事のようですが」
「あぁ、王の追っかけか…」
鳳珠はため息をつきながらつぶやいた。
「宰相会議で宣言して出ていってしまったそうですね」
「あぁ、あのバカ王、悠舜に全部押し付けやがって。なんで行くのかリオウが聞いたようだが、はっきりさせなかったようだ。まぁ、おおかた知れているがな」
「困ったものですね…」
鳳珠と柚梨の会話を聞きながら、ため息が出る。
(これがきっかけで確実に悠舜様は今まで以上に忙しくなる。お身体の具合もあまり良くないはずなのに。また黎深叔父様は、悠舜様に”宰相位を降りろ”と詰め寄るでしょうね…)
「どうしました、春麗ちゃん?」
「あ、いえ…悠舜様がさらにお忙しくなるから、ちょっと心配だと…帰られた時は凜姫がお世話されていると思いますけれど、宮城にいるときは何かと不便ではないかと思って…」
「確かに、な。だが一介の戸部尚書が宰相の仕事で手伝えるものなんてほとんどないからな…この前、ちょっと様子を見にいってきたが、だいぶ疲れた顔をしていた。私は無力だな…」
少し落ち込んだ表情で鳳珠はため息をついてから、書翰に向かった。