青嵐の月草−2
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紫州の州試は他に先んじて行われた。
早まったことでかなり反発もあったようだが、とりあえず大きな混乱はなく終わったという。
合格者の一覧が礼部に届き、春麗は真っ先にそれを確認し、嬉しそうに目を細めた。
「紅侍郎、嬉しそうですね?」
魯尚書が話しかけてくる。
「えぇ、女人の合格者が数名出ているので、よかったと思いまして」
誰が、と言うことは伏せておいたが、視線は一点に止まっている。
紫州州試の首席は”景玉蓮”
尚書もそれをわかって、目を細めた。
「邸には合否が伝わっているだろうが、まだ聞いていないでしょう。伝えてあげてください」
「わかりました。行って来ますね」
いつも厳しい紅侍郎が、いつになく足取り軽く室を出ていった様子を、礼部官たちは不思議そうに見ていた。
戸部に入ったら、景侍郎は数名で打ち合わせをしていた。
尚書室に向かい「紅春麗、入ります」と声をかけてから入り扉を閉めると、鳳珠が難しい顔をして書翰を眺めていた。
「どうした?今は礼部の時間じゃないのか?」
「えぇ、柚梨様に用があって来たんですけど、打ち合わせされていたので…」
「柚梨に?」
鳳珠は書翰から目を外さずに、受け答えをする。
春麗は鳳珠の後ろに回って、そっと仮面の紐に手をかけた。
「…っ、おい春麗!」
「ちょっとだけ…お願い…」
春麗のお願い、の表情を見て、何かあったと察した鳳珠は、苦い顔ながらも仮面を机の上に置き「なんだ?」と聞いてくる。
「あの、玉蓮姫が…州試を首席及第しました」
「…そうか!」
鳳珠は自分のことのように破顔した。
この顔が見たくて、仮面を外してもらったので、春麗は見惚れながらも満足して同じように微笑んだ。
「まだ柚梨のところには報告が入ってないだろうな」
「お邸から文が来ると思いますけれど…魯尚書から伝えてあげるといい、と言われて来たのですけれど、お邸からの文の方が喜ばれるかしら?」
ちょこっと首を傾げながら春麗は考える。
「そうだな…とりあえず、黙っておこう。邸から文が来なかったら、帰る時に柚梨に玉蓮宛の文をたくそう。邸から知らされたら、祝いとして渡すか」
鳳珠の提案に春麗はにっこり笑って「では、早速書かなくては」と鳳珠に仮面を返しながら自分の机案に向かった。
