はじまりの風−3
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茶太保は呆然と目の前の光景に立ち尽くす。
次の瞬間、残りの男たちの首も落ちる。
「王はあなたを特定されました。じき手勢を率いて藍将軍が到着します。捕縛は時間の問題です…自首するおつもりは、ありませんか?さっきの言葉通り、あなたの目論見は、あなたの良心であった香鈴によって崩れたわけです」
「馬鹿な、珠翠はそんなことは一言も」
「…珠翠…それが私の知る兇手ならば、それは間違いなく”風の狼”です。手駒として動かせるのは、先王陛下と私と、そしてー霄大師のみ」
・・・
「あいつの手のひらの上で踊らされていたのだな、最後の最後までー霄!」
狂ったように笑い出す。
「お前も、よくも今まで我らを欺いてきたものだ。まさか、お前が先王陛下の”黒狼”だったとはな。二人を連れて、いくがいい」
・・・
「この命、くれてやるのはお前ではない」
茶太保は何処ともなく去り、邵可は静蘭の応急手当てをした後、春麗とその手にしていた刀を取り外に出た。
人に見られないように宮城の中を気配を消して歩き、戸部の扉の前に春麗を横たえる。
「それでも私は君も心配だよ、と言ったのに…無茶をして…」
(黎深ではおそらく取り乱してしまってだめだ。そろそろ影から報告も入っているだろう。黄尚書、この子を頼みます…)
もう一度辛そうな顔をして春麗を見てから、何も言わずに次のところへ向かった。
しばらくしてから、鳳珠が戸部の扉を開けると、出てすぐのところに侍童が倒れていた。
「天寿!?」
慌てて駆け寄って様子を見るが、意識がない。
抱きかかえ、医務室に行こうと歩き始めたところ、向かい側から黎深がものすごい勢いで走ってきた。
「鳳珠!」
「黎深、天寿がここで倒れていた!医務室へ運ぶ」
二人は走って医務室に向かったが、当直の若い医師が1人しかいなかった。
「陶老師を呼んでくれ!」
「あいにく、今は主上の要請で、紅貴妃様のご様子を見に行かれています」
黎深は「くそっ!」と扇を自分の手に叩きつける。
「急いで、こちらにも来るように言ってくれ。吏部尚書と戸部尚書からのたっての要請と伝えろ。王がいれば意味はわかる、早くいけ!」
と命令をし、若い医師は室を転がり出た。