青嵐の月草−2
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「それで…この勝負を宰相会議の皆様に並んで、一介の戸部尚書補佐に見せた意味はなんでしょう?」
春麗は巻き込むなと怒鳴りたかったが、勝手知ったる三師の室ということで、茶を淹れて出しながら少し抑えて尋ねた。
「主上の本気の剣の腕前を見せておきたかったのじゃよ」
「だからって、あんな仰々しい場でなくとも…」
「あのくらいの場でないと、本気は出さん」
「で、本当の目的は?また何かわたくしにさせるのですか?」
霄太師はニヤリとして
「何かやりたいと言うなら頼むかのぅ?じゃが、黄尚書が許すかのう?」
と意地悪く笑う。
婚姻のことは敢えて言っていなかったが、この二人ならそんな情報が入ってくるのは朝飯前だろう、と春麗はさして気にもせず
「許さないでしょうね」
と即答した。
宋はともかく、霄の案件は危険信号が灯る春麗にとっては、一番受けたくない話だ。
「父はともかく、わたくしはないですね」
と牽制する。
「ほう」
とまた霄はニヤニヤする
宋はきなくさい駆け引きを感じて
「純粋にワシが春麗が見ておいて損はないと思ったのじゃよ」
と話をまとめる。
いざとなったら、というのは考えていないわけではなかったが、まだどう転ぶか宋にはわからなかったからだ。
「鍛錬はおろか、運動すらしてませんからね、いまのわたくしには無意味ですよ」
「では、週三で鍛錬からやろうかのぅ?」
のほほんと宋が言った。
春麗は座ってから茶を一口飲んで、
「本当に…必要になる時が来ますか?」
と尋ねた。
表情を引き締めた霄と宋は顔を見合わせた。
「まだ、わからん。だが、その時が来てからでは間に合わぬ」
「わかりました…戸部と礼部の仕事の調整をします…あと、黄尚書への確認も」
春麗はどうやって伝えようと頭を悩ませ始めた。