青嵐の月草−2
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「は?」
鐘三つ分固まった劉輝はようやく声を出した。
「どういうこと、だ…?」
「おや、ご存じなかったですか?春麗殿は黄尚書の奥方ですよ?」
劉輝は静蘭を見る
「はい、私たちが茶州から戻る前に結婚したと文がきましたから」
「いつの間にそんなことに…余は聞いてない…」
自分だけ知らなかった、と、劉輝、本日二度目の衝撃。
しかも、”飛んでいる鴉が落ちるほどの顔”、な仮面男と結婚…
仕事にも厳しく、王である自分に優しさのかけらも見せない男と結婚…
「春麗は…男の趣味が悪いのだろうか…周りに結構いい男が揃っていると思うが…」
「むしろ、趣味がいいと思いますけどね」
劉輝が思わず口から出た独り言に悠舜が答えるが、当の本人は衝撃が大きすぎて聞こえなかったようだ。
ややあって我に返ってから、悠舜と静蘭を見て言った。
「悠舜殿や静蘭は知っていた、ということは、他の者たちも知っているのだろうな…」
「それはどうでしょうね?彼も春麗殿も交友関係が広い方ではないですし、官吏同士の婚姻ははじめてのことですから、いろいろ気遣って公言はしてないみたいですが…主上にもお伝えしてなかったんですね」
「余は…黄尚書にも春麗にも好かれていないからな…」
劉輝はしょんぼりとうなだれた。
「まぁ、今言った通り、繊細な問題ですから…あまり気になさらなくていいと思いますよ。もっと女人官吏が増えていけば、こういうことは気にしなくても言えるようになるでしょう。このままだと一度きりに女人国試になっていたのをそうしないために魯尚書と紅侍郎が国試について大きく整理をかけたのもありますから」
さりげなく悠舜が話題を変える。
「今年は女人の受験者はあるだろうか?」
「おそらく…年齢的には少し若いので今年か来年か…もしかしたら受けるかもしれない、という方を一人知ってますよ。あと十年後ぐらいにもう一人」
悠舜は景侍郎の娘・玉蓮と茶州にいる朱鷺を思い浮かべながら答えた。
十年後はともかく、まずはかの大人と子供が同居した不思議な姫と宮城で一緒に仕事ができるまで、自分はいられるだろうか、と心の中でつぶやく。
「そうか…」
劉輝は聞いておきながら、どちらでもいいような反応で答えた。
悠舜は知っている、だが言わない。
王と側近たちが女人国試を実施した本当の理由を。
「日頃、男性官吏と戦っている二人も、仲間ができればまた違った刺激になるでしょう。数名受かってくれると良いのですが」
敢えて名前を出さずに悠舜は言った。
静蘭はそれを聞いて少し険しい顔をした。