青嵐の月草−1
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「柚梨、春麗、兵部から後宮警備の費用の請求が来ているので確認してもらいたい」
「兵部からですか?羽林軍ではなく?」
柚梨が不思議そいうな顔をして書簡を受け取る。
「孟侍郎が自ら持ってきたぞ」
横から見ていた春麗が口を挟んだ。
「思ったより金額が少ないですね。藍家の姫は貴妃候補…ですよね?」
(秀麗の時と訳が違う、今回は公にした上での後宮入りなのに)
「警備の全容を見せてもらうことは難しいでしょうけれど、一度現地確認しておいたほうがいいですね。春麗ちゃんと一緒なら入れるでしょうか?」
「正規の手続きを踏めば問題ないだろう。兵部と後宮に依頼の書翰を用意する。行くのは姫が後宮に入ってからがいいだろうな。午後の書翰出しの時に侍童に頼んでくれ」
鳳珠はサラサラと書き上げた。
それをみながら、春麗は思いついたように言う。
「ざっと見取り図を作ります。これがあればわたくしがいない時でも大丈夫だと思います。後宮のことはあらかたわかっていますが、どのみち警備の全容は見せてもらえないと思うので、気になるところだけ共有しておきますね」
大きめの料紙を取り出し、後宮の見取り図を書く。
「姫の室がどこかわからないとなんとも言えませんが、おそらくこの辺りか、こちらになると思います。それから…」
と話しながら気になるあたりに記載を書き込んでいく。
「緩い警備であればこの辺りまでかと思います。さらに、もう少し厳しくするのであれば…」
違う印を入れていく。
「もしわたくしがいけない時の場合は、筆頭女官の珠翠に確認してください。わたくしからの話と言っていただければ、正直に答えてくれると思いますわ。いずれにしても、早めの確認がいいと思います。珠翠にも個人的に伝えておきますね」
なぜ春麗が後宮の図面が書けるほど詳しいのか、なぜ筆頭女官と親しいのか、疑問符が浮かんだ表情で柚梨は鳳珠を見たが、鳳珠は「わかった」と答えただけだった。