青嵐の月草−1
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邸に帰って鳳珠の室で仕事をしながら、朝議の件について尋ねた
「時期を考えたらもう少し後でもよかったのではないかと思うが、随分急いだな?」
「国試の件ですか?そうですね…準備を考えると、早めに決めておいたほうが動きやすいと思っただけですよ。今を逃すと逆算したら雪の時期に開催しないといけなくなるので。」
春麗は筆を動かしながら答える。
「特に、州試の準備は遠いところは時間がかかりますからね。今年の受験者には準備期間が短くなって申し訳ないですが…」
(この先、いつ”黎深叔父様”の件がおこるかわからないから、先手を打っておきたかったというのが本音だけれど…鳳珠様には言えない…)
「ところで、玉蓮姫は受けるのかしら?」
「柚梨には、一度小手調で受けてみてもいいのではないかと言っているが、玉蓮次第だな。”景柚梨の娘が落ちた”とは言われたくないと言っていたらしい」
「確かに…前回なら特例措置だったので落ちてもまぁそんなものか、って感じでしたけど、今回からは違いますものね。州試が近づく前に、お会いしたいものですわ。一度、一緒にお出かけしてみたいと思っていましたの。甘味を食べたりとか、お買い物したりとか…」
ちょっとうっとりと楽しそうな表情をした春麗をチラリとみてから、ぼそっと言った。
「国試が終わるまではやめておいたほうがいいな。去年の黎深の二の舞になると面倒だ…」
鳳珠はカタリ、と筆を置いて、徐に春麗の後ろから抱きしめた。
「その代わり、と言ってはなんだが、”お出かけ”は私としてくれないか?」
耳元で甘く囁かれて顔を赤らめた春麗は「鳳珠様、ずるいです…」と筆を置いてその腕を抱き締めた。