青嵐の月草−1
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「礼部から案の出た、州試、国試の時期の前倒しと、春までの進士候補生の課題確認試験、上位24名の進士教育過程の六部持ち回り、除目は主上から行う、ということにについて、何かご意見のある方はいらっしゃいますか?」
鄭尚書令の確認があったが、誰も異議を唱える者がいなかった。
通常のやり方だと偏りが起こるし、朝廷預かりにすると賄賂が横行する、というのは誰もが理解するところだったし、一年前の事件が記憶に新しすぎる。
「それでは、礼部の案で進めることとします。また、今回から女人官吏登用については、男女の差別なく州試から行うこととしますが、それでよろしいですね?」
少しざわついた中から、見知らぬ官吏が声を発する。
「鄭尚書令、それはまた別の話では?昨年それで採用となった紅秀麗は冗官に落とされて騒ぎになったのはつい最近のことです。女人がまともに務められるはずはない」
「でも彼女は処分対象にならず、吏部査定を通過して今はきちんと官吏として勤めを果たしています。また、同時期に入った紅春麗官吏は今や礼部侍郎、実力があれば何ら問題のないことです」
ざわついていた議場が一瞬静まり返る。
「それであれば」
旺季が口を挟んだ
「とはいえ私は今でも反対です。女人登用などしたから混乱が起きた。ただし一方でうまく立ち回っている者もいる」
チラリと春麗を見てから続ける
「国試のみ女人官吏が登用できるというのは不公平でしょう。”女人でも実力があれば問題ない”ということであれば、資蔭制でも登用できるようにしたほうがより国のためになるかと」
また少しざわつく中、黎深は「チッ」と小さく舌打ちした。
「まぁ、言い分はわからなくはないな」
鳳珠はいささか冷静に話を受け止める。
「いずれこの話は出るとは想定されましたからね」
鳳珠の言葉を受けて柚梨が小さくつぶやいた。
「旺門下侍中の発言についての意見は?」
最も、貴族派の女人登用反対派は、旺季が発言した以上、特に口を挟む者は出ない。
「主上はいかがですか?」
劉輝は敢えて一度春麗を見てから「それでいい」と答えた。
「それでは、次回の国試については礼部の案で、女人登用も男女区別なく開催、旺門下侍中の提案の資蔭制での女人登用は今後実施する、ということで決議とします。計画している制試は予定通り行うということで。」
悠舜は優雅に羽扇を揺らしてこの話を終わらせ、魯尚書と春麗は顔を見合わせて頷いた。