紅梅は緑風に乗って香る−3
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「宰相会議で決着がついたようだ。悠舜が、茶、鉄、塩については戸部で対応、今しばらくは様子見、ということで話して決まったそうだ」
「そうですか」
柚梨と春麗は顔を見合わせて頷いた。
「あと、この前あった子供…仙洞令君が発表されたぞ」
「リオウ殿ですね」
「なんでも、藍州から貴妃の候補が来る、とか言っていたみたいだが?」
「藍家からですか?それはまた…」
柚梨が驚いているのと反対に、春麗は黙って考え込んだ。
(秀麗一筋の主上が積極的に動いたとは思えない、とすると藍家の意向…何を考えている?確か、藍姓官吏が退いたのは黎深叔父様が現れた時、藍将軍はともかくとして、今回藍家が出てきたということは…)
少し青い顔をしてガタッと立ち上がった様子に「春麗ちゃん?」と柚梨が声を掛ける。
「すみません、ちょっと…吏部に行ってきます」
「失礼します、紅春麗、入ります」
吏部尚書室に足を踏み入れる。
「来たか…」
黎深はいつものように踏ん反り返っていた。
「藍家の姫が後宮に入ると聞きました」
「貴妃候補だろうな…心配するな、まだ、もう少し、時間はある」
問わず語りで春麗の心配に答える。
ふぅ、と張り詰めていた息を吐き、春麗は座り込んだ
「あの三つ子のために、何かする気なんてさらさらないからな」
「三つ子?藍家当主の?藍将軍のお兄様方ですよね?」
「あぁ…あいつら、こともあろうか兄上と親しいんだ!」
怒りをあらわに黎深が扇を叩きつけた。
(叔父様、そこなのね…父様と親しいなら少し聞きに行った方がいいかしら)
黎深はぴらりと料紙を渡す。
見ると、藍家の姫について書かれていた
「来たら後宮に見に行ってもいいが、御史台がうろつくだろうから気をつけろ」
書かれていた姫の絵姿は、秀麗にそっくりだった。