紅梅は緑風に乗って香る−2
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その日、春麗は物価指数の整理をしていた。
じわじわと物価が上がっているが、あまりに緩やかで反対に何かが引っかかるが、いまいちはっきりしない。
トコトコと書翰を持って、碧官吏に近づく。
「嬢ちゃん、どうした?」
「これ、ちょっとご覧になっていただきたいのですけど…」
「ふむ…」
初めは普通に見ていた碧官吏の顔色がさっと変わり、黙って立ち上がって尚書室へ向かった。
春麗も後をついていく。
「黄尚書、ちょっとこちらを確認いただきたいのですが」
戸部官が”確認いただきたい”というときは数字を見ろ、ということとわかっているため、鳳珠は一度筆を置いて書翰を受け取った。
「…これは?」
「嬢ちゃんが今まとめていたようで」
「塩と銅、か…」
鳳珠は小さく舌打ちしてから「ちょっと出てくる」と言って、そのまま室を出た。
「まぁ、任せておけば良かろう。戻ってきたら指示があるかもしれんから、先に今の仕事を片付けておこうかの」
と碧官吏に促されて、席に戻った。
やることは山ほどある、が…
(黎深叔父様に聞いても答えないでしょうね、となると…)
春麗は引き出しをゴソゴソとしてから目当てのものを取り出し、
「景侍郎、ちょっと出てきます。半刻ぐらいで戻れると思います」
と伝えて戸部をでた。