紅梅は緑風に乗って香る−2
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「絶対に姮娥楼の秘密の琵琶姫だと思ったんだけどなぁ」
晏樹は御史台長官室で桃を弄びながら再度呟いた
「随分と気にしているな。だったら何なんだ?」
「だって、”秘密”って気になるじゃない?それにしても…”長官の秘蔵っ子”が、”戸部の秘蔵っ子”にバレていたとはね。あのお姫様、お嬢さんより鋭いみたいだね」
皇毅はフン、と不機嫌そうに横を向いた。
「ねぇ、お姫様に何か仕掛けるの?」
「仮にそうだとしても、なぜお前に言わなければいけない?」
「何かあったら面白いじゃん」
「”失敗”は許されないからな。あの娘より近くで関わる高官が多すぎる」
「ふぅん…あぁ、お嬢さんもかわいそうにね…」
晏樹は桃を一つ置いて出て行った。
「紅春麗、か…」
(面が割れてしまったなら仕方ない。紅黎深か黄鳳珠のどちらかがほぼ近くにいるとなると、やはり清雅では無理だ。先程の態度からも分かる通り、景侍郎はあぁ見えてキレ者。必要な時は自分で行くか…)
皇毅は清雅を呼んで、春麗を調べる案件から引くよう指示した。
「まぁあの女ほど甘くはないと思いますが…なぜですか?」
清雅が納得いかない表情をして質問する。
「お前は私の部下だろう?私の指示に従えばそれでいい」
「それでも」
「今お前が自分で言っただろう、”あの女ほど甘くない”と。そういうことだ。”失敗”は許されないからな、とりあえず泳がせておけ。必要な時には指示を出す。くれぐれも、それまで近づくな。用件はそれだけだ」
苦虫を潰した顔をして礼をして、清雅は出て行った。