藍より深い碧の大地−2
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櫂瑜が茶州に到着した。
挨拶の後、文を託されたとそれぞれに渡す。
「お二人への重い文箱は碧官吏からです。こちらは、紅官吏から。鄭州尹や浪州尹宛もありますよ」
「珀明の、重いわね…」
「ほんとですねー。時間かかりそうですから、僕、春麗さんからの先に読みます」
それぞれ、その場で文を開く
程なく、悠舜がガタッと立ち上がった
「どうしたんだ?悠舜?…えっ!?」
燕青は悠舜と自分宛の文を見比べる。
「鳳珠…なにが、と、いうことだ、ですか…!」
悠舜は珍しく怒りをあらわにして小声でぶつぶつ言っている。
「春麗、やっぱり…」
秀麗は黙って文を静蘭に渡す。
静蘭は読んで少し眉を顰めた。
「おめでたいことですー。でも、なんか急っぽいですよね?どうしてこの時期なんでしょうねー?」
影月の疑問に悠舜、燕青は同意した。
「俺宛の文には、黄尚書と結婚した、としか書いてないぜ」
「僕もですー」
「私宛もですね。春麗殿の文の後に、黄尚書から"と、いうことだ。詳しくは貴陽に戻ってきた時に話す"しか書いてないです。急いで書いたのかもしれないが、普段丁寧なあの人らしくない」
「それで悠舜、さっき怒ってたのか」
燕青が苦笑いした。
「新年に帰った時に、春麗が黄尚書のお邸にご厄介になってるって聞いたの。でも、その時はお付き合いなんてしてない、って言ってたのよ」
「えっ?そうだったんですか?黄尚書からはそんな話、聞いてませんけど?…私も凜と一緒に学舎の件で黄尚書に会った時に春麗殿がいたので、黄尚書それとなく水を向けてみましたが、邸にいる話もしてなかったですし、お付き合いとかそういう感じは全くなかったですね」
「でも、茶州に戻る時に…ほら、悠舜さんたちも府庫で寝てたでしょう?あのとき、黄尚書と景侍郎と一緒に春麗も寝てたんです。見たら、黄尚書と手を繋いでて…あの短い間に何かあったのかしらね?」
「ええっ!?それは気づかなかったですね…」
悠舜が目を丸くする。
「いくら理由があったからって、お嬢様や影月くんが大変だった時に…春麗お嬢様は何を考えているのか…」
「でも静蘭、文には理由については書いてなかったわね…なんとなく聞いたところで春麗は話さない気がするけど…うちの結婚で勝手なことをできるとも思えないから、父様も了承しているということでしょうし…ま、帰ったら聞いてみるわ。」
秀麗は文を丁寧に畳んでしまってから気がついた。
「でも、確かに黄尚書は優しいし女性の扱いも大人で素敵だけど…春麗が結婚したということは、黄尚書の素顔を知っているということよね?仮面で隠しているような飛んでる鳥が落ちるような酷い顔みたいだけど、大丈夫なのかしら?」
秀麗の素朴な疑問に、素顔を知っている悠舜と櫂瑜は顔を見合わせ、燕青も苦笑いした。