藍より深い碧の大地−2
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湯浴みを済ませた後、新しい夜着を着せられて、瑞蘭に「お話があるそうですよ」と鳳珠の室に連れて行かれた。
夜着も鳳珠と同じ黄色が基調だったが、先ほどよりは少し慣れてきた気がする
(こうして、少しずつ紅から黄色に変わっていくことに慣れていくのかしら)
もっとも、この国では婚姻後も名前は変わらない。
つまり、官服は紅色だし、黄色を着る頻度は少ないのだろうけれど、今までになかった色でもあり、彩七家に嫁がないとここまで色を意識することはないので、やはり不思議な感じがすると思いながら回廊を進む。
鳳珠の室に入るときに、少し不安げに瑞蘭を見たら、「大丈夫ですよ」と背中を押された。
「鳳珠様」と声をかけて足を踏み入れる。
鳳珠は立ち上がって春麗の手を引き、長椅子に座らせる。
瑞蘭が出て行ったのを見て仮面を取りながら「少し話そう」と言った。
「さっきも少し話したが…婚礼にまつわるようなことが何一つできていないので…一つ、贈り物をさせて欲しい」
「でも、たくさんいただきましたわ、お室も、衣も…」
鳳珠はふっと笑ってから、手のひらぐらいの箱を取り出す
「私が一生、春麗を守る。愛している…」
春麗の左手を取り、箱から出した指輪を春麗の薬指にそっとはめて、その上にそっと口付ける
「春麗が私の妻である証だ…私が春麗の夫である証でもある。私にもつけてくれるか?」
箱を右手で差し出す。
同じ意匠の指輪がもう一つ入っていた。
「鳳珠様…」
春麗は言われた通り箱を受け取り、指輪を取り出す。
同じように鳳珠の左手を取り、同じように薬指にはめる
「わたくしも…鳳珠様を愛しています…」
鳳珠は誓いのように春麗の頬を両手で包んで口付けてから、横抱きにして大切そうに寝台に横たえた。