藍より深い碧の大地−2
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春麗は鳳珠と一緒に邸に帰った
「おかえりなさいませ、御館様、奥方様」
(お、奥方様??)
きょとん、とした顔で一瞬驚いた後、自分のことを言われているのだと気がついて、じわじわと赤くなる
正直、手続きはしたと言われたものの、結婚したという実感はまだない
その様子を、家人たちは微笑ましそうに眺めた
鳳珠の着替えを手伝った後、自分の室に戻ろうとした時に、瑞蘭から
「今日からはこちらですよ」
と言われて鳳珠の隣の室に連れて行かれた。
「…」
足を踏み入れると、今までより広い室。
机案も寝台も大きく、寛げる長椅子と机もある
「今日から奥方様ですからね、こちらの正室になります。お着替えをお手伝いしましょう。私ども、本当に嬉しく思っておりますよ、春麗様がお嫁に来てくださって」
と出された衣は同じ準禁色でも黄色の衣
「これ…いいのかしら?」
瑞蘭はクスッと笑って
「春麗様がお召しにならなかったら、誰がお召しになるんですか?」
と言って、着替えの準備をする。
生まれて初めて袖を通した黄色の衣の姿の自分を鏡で見て、なぜかすこし落ち着かなかった。
「今日は少し髪も結い直しましょうね」
と解かれた後、いつもと違った雰囲気で軽く編み込んで髪飾りでふわりと止められてから、食事を取るために移動する。
鳳珠も春麗もそんなにたくさん食べる方ではないので、量は多くないがいつもと違うー祝いの膳が並んでいた。
配膳をしたらいつものように家人たちはそっと出ていく。
春麗がこの邸に住むようになってからの習慣だった
「ささやかながら、家人たちの計らい、らしい」
鳳珠が仮面を外しながら続ける
「一生に一度のことなのに…普通にそれらしいことをしてやれなくて申し訳ない」
「いえ、そんな…新しいお室を、ありがとうございました。それから衣も…色々揃えていただいて…皆さんにもお気遣いいただいて…嬉しいです」
「それは当たり前のことだな。ふむ、よく似合っている」
鳳珠は目を細めて言った
「ところで、李侍郎と碧官吏には伝えられたか?」
「絳攸兄様にはまだ…珀明さんは、午に伝えました。あと、櫂州牧と茶州の秀麗、影月さん、燕青殿へは、先ほど鳳珠様と一緒に悠舜様へ書いた文と一緒にそれぞれ…櫂州牧に珀明さんの文と一緒に。他には知り合いもそんなに多くないので、まぁいずれ…」
「そうか。私も同期ぐらいだが…まぁうるさそうだから悠舜が帰ってきたら、そのうち話すか…と思っている。工部へは碧官吏から欧陽侍郎へ話がいくかもしれないな」
「あ、珀明さんには、話さないで欲しいと伝えています。絳攸兄様にもまだだし、なんとなく工部は声が大きそうなので…」
「そうか…本当は私は可愛い春麗が妻になってくれたと言いふらしたいぐらいだがな。とはいえ宮城にとっては何にせよ初めての事例だからな…そういう意味でも色々済まないとは思っている」
鳳珠は綺麗な顔を少し曇らせて、自嘲気味に笑った。