藍より深い碧の大地−2
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「魯尚書…話は分かりますが、その肩書きはいくらなんでも…」
朝議の後、話があると尚書室に来た魯礼部尚書の話を聞いて、戸部の尚書と侍郎は言葉に詰まった。
「今年は礼部は前回の国試の時の混乱の後始末で、女人国試は実施できませんでした。ただし、制度を作った以上、もう一度やらないと、紅官吏たちもこのまま切り捨てられる運命になります」
鳳珠も柚梨も頷いた
それを見て、魯尚書は続ける。
「きっと、優れた人材が女人にもたくさんいると思うのでそれはもったいない。国試だけでなく資蔭制で入ってくる人もいるでしょう。そのために、資蔭制の女人官吏登用の準備もさることながら、国試は来年からは何がなんでも実施したいと考えます。それには紅春麗官吏の力を借りたいのです」
「でもその肩書きでは秀くん…紅州牧へのあの風当たりの強さ、あれの二の舞になりかねません」
「一介の礼部官で国試担当では、余計に痛くもない腹を探られます。彼女なら…周りと上手くやることは可能です。逆に、ある程度の権限を持って進めてもらったほうが上手く行くでしょう。礼部の仕事は一通り覚えてもらう必要はありますが、それも造作もないはずだ。一年、侍郎不在でやってきたのですから、通常の仕事は私の方で引き続き行いますし、負荷はかけないようにしますから戸部の仕事もしっかりやってもらってください。黄尚書の元で一年間、何食わぬ顔でやっていけた”戸部の秘蔵っ子”をみすみす切り離すつもりもありません」
「…」
「肩書きは”礼部侍郎”、ただし業務割合は今までどおり戸部主軸で、ということで、紅吏部尚書には話をつけています。吏部尚書補佐はそのままのつもりらしく、反対はされませんでしたよ」
(礼部には悪いが、何も違反はしていないが、仮に婚姻のことで反対派の突き上げがあって春麗が戸部にいられなくなった時の回避先としては最適か…)
「分かりました…そういうことであれば、話を進めてください」
「鳳珠…」
「ありがとうございます、黄尚書、景侍郎。いろんなうるさい意見も出ると思いますが…彼女なら悪目立ちせずにきっちり結果を出せると思いますよ。この一年そうだったように。まずあり得ませんが、礼部内での反発があった場合は、私がしっかり対応します」
魯尚書は珍しくにこやかに微笑んでから退室した。