藍より深い碧の大地−1
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(あぁ、暖かくて起きたくない…)
もそもそと動いて、寝返りを打つ。
背中側に引き寄せられた感じがして、薄く目を開いた。
お腹のあたりに、大きな暖かい手…?
もう一度、ころりと反対側を向く
少し顔を上げてみると、長いまつ毛にすっと通った鼻筋が目に入った
(鳳珠、様?)
寝ていても綺麗…と見とれながら、この状況に気がついて寝ぼけた頭をフル回転させる
(えっと、確か昨日は…座ってたら鳳珠様がきて、それで…)
話していた途中から記憶がない
(もしかして、話しながら寝てしまった?)
最近、寝不足からきていた頭痛もないし、何やらよく眠れた感じもする…
けど…
(そういえば、前もこんなことがあった気がする…でも瞳を閉じていても美しいこのご尊顔を寝起きに拝すのは心臓止まりそうになるわね…)
あの顔に免疫があるとはいえ、なんでもないわけがない。
超絶美人なことには変わりがないし、ましてや自分が慕っている相手なのだから…
春麗が恥ずかしくなってもじもじしていた様子を、うっすらと目を開けてみていた鳳珠は、自然に口角が上がってきた。
(何を考えている?)
ふと顔を上げた春麗がそれに気がつき
「鳳珠様…もしかして起きていらっしゃいます?」
と遠慮がちに小さな声で話しかけた
ぱちっと瞳を開いて真っ直ぐに春麗をみて「おはよう」と少し掠れた声で言う
(あっ…朝から、そんな顔で見ないで…)
恥ずかしくなって、パッと鳳珠の胸元に隠れるように顔を埋めて逃げる
普段の5割増しに見える色気のある表情にクラクラきたのは言うまでもない
細い指が春麗の顎を捉えて、上を向かせる
「おはよう、春麗」
ちゅ、と小さな音がして唇が触れる
「春麗からは、おはようの挨拶はしてくれないのか?」
「えっ…?」
きょとん、とした春麗の手を取り、鳳珠が自分の唇に指先を当てる
「ここに」
ボンっと赤くなった春麗にニヤッと口の端をあげて
「早く、起きられないだろう?」
と促す
「そ、そんな…」
「ほら、早く…」
「えぇっ…」
しばらく二人の甘い攻防が続いていたが、春麗が「鳳珠様、恥ずかしいので目を閉じていてください」と言ってしばらくしてから、柔らかい唇を一瞬だけ押し当てた
「おはよう、ございます…」
真っ赤になって自分の胸に顔を埋めてきた様子を、鳳珠は満足げに上から見下ろしてから、そっと髪を撫でた。