藍より深い碧の大地−1
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それから数日後
「集まってくれ」
緊急の朝議から戻ってきた黄戸部尚書と景戸部侍郎は、部下の官吏を全員集めた
「柚梨、先程の件を」
「茶州で疫病が発生しました。緊急朝議で医師団の派遣と、鄭州尹を茶州府へ護衛するため、州境までの紫州軍の派遣が決まりました。これから、医師団側と州軍の兵站の概算をだして金額を決定します。出立まで3日しかありません。本日中に概算をまとめますので、手分けして行います。医師団側は高官吏を中心に工部担当の二人も入れて三人で、兵站の方は私と碧官吏、紅官吏の三人で行います。その他の方はそれぞれの補助と通常業務を行っていてください。特に、工部・兵部・羽林軍との確認が増えますので、直ぐに動けるようにしておいてください」
櫂瑜からの文で朝議より前に知らされていた春麗は、すぐに鳳珠と柚梨に相談し、ある程度の準備を進めていた。
用意しておいた書翰を柚梨に渡す
「事前に用意しておいたものになります。高官吏、こちらが工部の分です。今聞いている話では、医師団の派遣と彼らが使用する器具などへの出費、また馬車の仕立てもありますので後部の方が金額が嵩むでしょう。現時点での概算は中に書いてありますが、膨らんでくる可能性が高いので、工部としっかり話を詰めて、無駄な出費が出ないようにお願いします。」
「皆、頼んだぞ。すぐにかかってくれ」
「はい」
「碧官吏、これを」
兵站の素案を柚梨が渡す。
「事前に彼女が作っておいたものになります。おそらくおそらくこの中のどれかがハマると思いますが、最終的には兵部と詰めることになりますので、概算の確認をお願いします。これから、二人で兵部に行ってきます」
碧官吏が書翰に目を落とし聞いてきた
「嬢ちゃん、兵站の素案なんていつの間に考えたんじゃ?」
「櫂瑜様から、茶州の疫病の件を文でお知らせいただいたのです。ちょうど、紅州牧と面会しているときに一報が入ったから、と。それで尚書と侍郎にご相談して、いくつか想定できる準備を用意しておりました」
「ほぅ〜櫂州牧から、とな。この準備のおかげで戸部の混乱が軽くなりそうじゃから、お礼をしておかねばなぁ」
「柚梨、”邪仙教”とやらの言い分を信じている者もいる。一見、秀麗が標的のように見えるが、過去にもあったように、女人官吏で中央に残る春麗が襲われない保証はない。柚梨が一緒にいれば手を出してくる可能性が下がるだろうから、春麗が外へ出るときはなるべくついてほしい」
「もちろんです。あんなことを信じている輩がいるとは情けない限りですが…行ってまいります」
柚梨と春麗は室を出ていった
少し心配そうに見送った尚書の視線を目にして
「兵部か…まぁ景侍郎が一緒なら大丈夫じゃろうて」
碧遜史が独り言のようにつぶやいた