白銀の砂時計−2
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櫂州牧が貴陽にいる間にまたお茶をする約束をして、春麗は戸部に戻った
「ただいま戻りました。お時間をいただきありがとうございました」
不機嫌さを露わにして返事をしない鳳珠を見て、柚梨が春麗に声を掛ける
「どちらに行かれていたのですか?」
「黒州の…櫂州牧にお会いしてまいりました」
「あの伝説の!なんと羨ましい!」
柚梨の声に、鳳珠も反応した
「色々教えていただきたいと思いまして…図々しくもお文を出してお願いしましたの。本当に素敵な方で、快く受けていただきました」
「でもまたどうして櫂州牧に?」
春麗は少し考える
「そうですね…一つは鳳珠様や柚梨様みたいな客観性と冷静な判断力を持てるようになりたいのと…玉蓮姫のように、これから女人官吏の後進ができるでしょうし、女性としての分岐点も色々あるでしょうから…その時に、信頼してご相談できる方が欲しかった、というのもありますね。もちろん、鳳珠様や柚梨様にもご相談しますけれど、お二人だと色々近すぎるでしょう?吏部は身内になってしまいますし」
「まぁ、確かにそうかもしれませんね」
(春麗ちゃん、今、”色々近すぎる”って言いましたよね?)
柚梨は言葉の端に引っかかって、自分の思考に入っていった
「それにしても、櫂州牧って本当に素敵でしたわ。お声もお姿も…動きも無駄なものがひとつもなくて、こんな若輩者にもお心遣いくださるんです。お顔の感じは違いますけれど、きっと若い頃は鳳珠様みたいだったんじゃないかしら?」
バキッ
見れば、鳳珠が筆をへし折った音だった。
それを見て、柚梨は”色々近すぎる”の言葉の意味がわかった…ような気がした。