白銀の砂時計−2
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「お帰りなさい、鳳珠、春麗ちゃん…なんか春麗ちゃんぐったりしてますが大丈夫ですか?」
府庫から戸部に戻ったら心配そうに柚梨が話しかけてきた
「だ、大丈夫です…ちょっと、色々あって…自分のせいなので問題ないです…ごめんなさい、お仕事、しますね」
若干よろよろと歩きながら机案に向かう
「鳳珠、本当に春麗ちゃん大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…多分?」
春麗を見ると、仕事をする、と言っていた割に、どうやら文を書いているようだった。
チラリとみた鳳珠は気になったが、ついでに用事を頼むこととして、書き終わった頃を見計らって、吏部への使いを頼む。
「行ってまいります」
懐に文をしまって出ていくのを確認し、あとでどう問おうか考えていた
春麗は吏部に行ったが黎深はいなかった。
おそらく、今頃は府庫で邵可にくだを巻いているところだろう。
吏部官に書簡を託してついでに文の使いを頼んでから、戸部へ戻った。
「尚書が”まだ”不在でしたので、とりあえず書翰は託してきました。急ぎであれば取り戻しに行ってきますが?」
「いや、構わない」
その後、しばらく仕事をして、お茶の用意をしていると、春麗に文が届いた。
お茶を出し終わって確認すると、先程の返書だった。
「黄尚書、景侍郎、申し訳ございませんが、これから半刻から一刻、外させていただいてもよろしいでしょうか?」
「構わんが、どうしたのだ?」
「さるお方に面会の申し入れをしたところ、早速来るように、とのことでしたので行ってまいります」
「どなたに会われるのですか?」
「戻りましたらご報告いたしますわ」
抽斗に、必要な時にすぐ贈り物ができるように入れてあった包の中から一番良いものを選んで手にして
「では行ってまいります」
と出ていった。
鳳珠が苦い顔をして見送っているのが視界に入り
(ごめんなさい、鳳珠様)
と心で謝った。
嬉しそうに出て行った春麗と、苦い顔をして見送った鳳珠を見て、柚梨はなんとなく胸騒ぎがしたのだった