白銀の砂時計−2
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しばらくしてから鳳珠が思いついたように口を開く
「いま想いが通じ合ったのに気が早いと呆れられるかもしれないが…」
腕の中の春麗の髪に簪を戻してから流れる髪をそっと撫でる
「春麗とのことを、邵可殿にお話ししたいと思う。春麗は紅家直系の姫だし、歳を考えたらこれから見合いの話がたくさんくるだろう。せっかく愛しい姫と恋仲になれたのに、横から掻っ攫われるなんて御免だ」
「恋仲…」
小さな声で春麗はつぶやいて、恥ずかしくなって鳳珠の胸に顔を埋める
言ってみた自分の言葉に、耳まで真っ赤になった
「そうだろう?それとも、春麗はもう私のことが好きではなくなってしまったのか?」
「そんな…!」
ぱっと顔を上げて鳳珠を見ると、悪戯っぽく笑っていた。
「もぅ、お揶揄いになって!そんな鳳珠様は嫌いです」
プイッと横を向いてしまった様子に
「すまない。春麗が可愛すぎてな」
とクツクツと喉の奥で笑いながら言う。
「ご機嫌を直しておくれ春麗姫。嬉しくて…ちょっと意地悪をしただけだ」
「意地悪な鳳珠様は嫌いです」
「じゃあ、もう意地悪はしないから、また好きと言ってくれるか?」
「・・・」
顔を上げた春麗の額に口付ける
「私の春麗…愛している…」
「鳳珠様…好き…です…」
もう一度胸に顔を埋める。
鳳珠は満足そうに春麗の髪に口付けた。
「話を戻そう。いますぐ結婚すると言う意味ではないし、家同士の結婚にする気もさらさらないが、春麗が紅家直系と言うことを考えると、早めに申し入れをしておくべきだと考えた。だから、父君である邵可殿には私から正式に話をしておきたいが、いいだろうか?」
春麗は意味を理解して顔を上げた
「鳳珠様…そこまで考えてくださってありがとうございます。そう言うことであれば、父へは鳳珠様からお話ししてください。その後、わたくしも父から聞かれると思いますから、同じようにお答えしますわ。ただ…」
「黎深か?」
「えぇ。わたくし、どちらかというと黎深叔父様に育てられたようなものなので…まぁあの叔父なので、何か具体的に父親らしいことをしてくれたわけではないのですけれど、わたくしと父…家族の間がうまくいかないと自分で感じていた時に、黎深叔父様のところに通っていたものですから…それともう一人、紅家第一の叔父がおります」
「あぁ、玖琅殿だったか、毎年朝賀に来られる名代の…」
「えぇ。おそらくもう玖琅叔父様は動かれているかと思います。秀麗とわたくしのお見合い、に関しては…おそらく玖琅叔父様の考えそうなことだと、どちらかを絳攸兄様と結婚させることでしょうね。父様は主上の想いをご存知ですから、そうするとわたくしに話が来る可能性が高いかと…」
はぁ、とため息をついて一呼吸おく。
「ならなおのこと、明日にでも話しておいたほうがいいな」
「玖琅叔父様のことですから、父様からその話を聞いたら、必ずわたくしに直接何かしら言ってくると思いますし、わかってくださるまで話します。問題は多分、黎深叔父様の方が…仕事だったら”吏部に毎日通う”とかで手を打てると思うのですけれど…」
鳳珠も想像してため息をつく
「私への嫌がらせがエスカレートするぐらいならなんとかするが、どう出てくるか分からんからな」
しばらく考えていた春麗が
「鳳珠様…この先も、何があっても、わたくしを守ってくださいますか?」
と突然聞いた。
「あぁ、もちろん。何度でも誓おう。私は紅春麗を守る」
鳳珠は先ほどと同じ真剣な眼差しで見つめて答えた。
「ありがとうございます。鳳珠様が父様と話してくださった後で、わたくしから黎深叔父様へお話しいたしますわ。邸で話すとこちらへ帰してもらえなくなるので…府庫で、父様のいるところで話します」
「私も行ったほうがいいか?」
「そうですね…話す時刻は決まればお伝えしますから、それから半刻後にお迎えと称して様子を見にきてください。その場にいなかったら、黎深叔父様のお邸に連れて行かれていると判断していただいて構いません」
鳳珠はフッと笑って
「何か秘策があるようだな。黎深は任せた」
と伝えて、また抱き寄せた。