白銀の砂時計−1
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「ねぇ父様、春麗のことだけど…いつから?」
黄尚書と春麗が帰った後、なんとなく雰囲気のいいような二人の感じを受けて、頭がぐるぐるするような感覚を落ち着かせるように、一口お茶を飲んで、秀麗は尋ねた。
「いつから、とは、黄尚書のお邸で暮らすようになったことかい?秀麗が茶州に立った日だよ。春麗からそのことを言われたのは、配属の日の夜」
なんでもないことのように邵可は答えた。
「お付き合いしているわけではないと言ってたけど… 私や静蘭がいる間でも、帰ってこないのね…もう、父様放っておくなんて」
「黄尚書の人柄は君も知っているだろう?同じ外朝に勤めていると言っても、実際は春麗がたまに仕事で府庫に来た時くらいしか会わないけれど、その代わりなのか、黄尚書が時々わざわざ来られて様子を知らせてくれていてね。君もそうだったろうけど、春麗も色々あったが、実際にいままで倒れもせず無事でいられたのは、彼とお邸の方々のおかげでもあると思っているよ」
「でもっ…」
不満げに秀麗は言う
「秀麗は知らされなかったことに納得がいかないのかい?茶州に旅立つのに余計な心配をかけたくないという春麗の配慮なのだから、そこを責めてはいけないよ。それに、春麗は文も出さなかったようだけど、反対に君は春麗に無事を知らせる文を出したのかい?」
「…」
「こうなったのは…私の責任だ。春麗も自分で何かを決めたようだから、命の危険や、みすみす不幸になることがわかる場合以外は、これから彼女の決めることには、反対はしないつもりだ。秀麗、もちろん君に対してもそうだからね」
ぽん、と秀麗の頭に手を置く
「今日は色々あったから疲れただろう、ゆっくり休みなさい。おやすみ、秀麗」
邵可が出ていくのを見送りつつ…気持ちの整理がつかないまま秀麗はひとつため息をついた。
「静蘭…」
話を聞いて欲しい、と思ったが帰ってこないことを思い出し、もう一度ため息をついた。