白銀の砂時計−1
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王が群臣と接見するための宣政殿には、続々と人が集まってきていた。
「錚々たる顔ぶれですねぇ。わぁ、黒州の櫂州牧までご臨席なさってますよ」
「お前もその錚々たる顔ぶれの一人と分かっているか?柚梨」
横でクスクスと春麗が笑い、珀明が「それにしてもどんどん集まってくるな」と呟く。
「なんなんですか、この野次馬の数は…秀くんたち野次られること確実じゃないですか」
「…お前も私も野次馬だろうが」
「なんです、あなた野次るつもりでいらしたんですか。ならとっとと出てって下さい」
魯官吏が
「黄尚書は良い副官をお持ちになられましたな」
と微笑むと
「そうそう、君にはもったいない。大丈夫だよ、景侍郎、いざとなったらこの男の仮面を剥がせばいいことだから」
と真紅のいでたちの男が現れた
「…お前、なんだその格好は?」
「着替えている余裕がなかったんだよ」
「え?朝賀の謁見って、玖琅叔父様じゃなかったんですか?」
春麗がびっくりして素っ頓狂な声をあげる。
「まー、それにしても見事に真っ赤で」
とクスクス笑う。その声に目をむけた黎深が、春麗の姿を見て絶句する
「あ、あ・・・」
「あ?どうした黎深?」
「叔父様?」
「あ・・・いや…うん、なんでもない」
(なんだあの春麗の義姉上そっくりな姿は…いや、前から似てはいたが…急に、綺麗になったし、急に義姉上に生写しになった…)
滅多にない心の動揺を悟られなうように、パチンと扇を鳴らした。
「ふん、おかしなやつだな。滅多にしない仕事をして新年早々、思考が止まったか?」
「ふざけたことを。春麗も秀麗もここにいるのに、なぜ玖琅にやらせなければならん。当主としての勤めを果たしたまでだ」
軽口を叩いているうちに、秀麗と鄭州尹の入殿を知らせる声がした。
・・・そして次の瞬間、魯尚書は眉を跳ね上げ、景侍郎は思わず口をあけた。
春麗と珀明は顔を見合わせ、鳳珠は仮面の裏で瞠目しー黎深の扇の音が止んだ。