茶都・月の宴−2
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医務室に向かう道すがら、春麗は黄色い扇を黎深に渡そうとした。
「鳳珠様、黎深叔父様、先ほどはありがとうございました。それと、これ…藍将軍がとってくださいました。叔父様が投げてくださったのでしょう?」
「あぁ、それはやる」
「え?」
「やる、と言っているんだ」
春麗は黙ってぱらりと扇を開く。
だいぶ薄くて軽いが黄色いそれはまさしく鉄扇だった。
紅い房がついてる。
自分が先ほどまで使っていた紅い鉄扇も同じように広げ、二つを見比べる。
やはり黄色い方が薄くて軽い。
一方、さっき使った紅い扇は刀を受けた影響で所々欠けてきていた。
「叔父様…こちら、お直しお願いできます?」
ぼろっとした紅い扇を黎深に渡す。
「その間、こちらを使わせていただきますね」
どうやら正解だったらしく、黎深は黙って受け取った。
医務室で手当てをしてもらう間、春麗は鳳珠を質問攻めにしていた。
「あの、手から光線が出ていたのは、一体どうなっているのですか!?」
「光線?」
鳳珠は首を傾げる
「はい、黄色い光線が出てました!お二人から、二本!!」
鳳珠と黎深は顔を見合わせる
「私は扇を投げただけだがな」
「私は、硬気功を送った」
「それですね!でもどうして黄色い光線だったのかしら?」
「気功は別に見えないはずだが?」
鳳珠は不思議そうにいう
「でも、鳳珠様の手から光線が出ていたんです!鳳珠様って異能持ちなのかしら…?」
怪我をそっちのけで考え込む春麗に、二人はため息をついてから黎深がいう。
「春麗、その話はともかく、羽林軍指南はもうやめろ。今回はたまたまよかったが、今後もあそこがそういう素性の悪い輩の集る場になる可能性がはっきりした」
黎深が厳しい顔で言い渡す
「わたくし、辞めませんわ。これで辞めたら敵の思う壺ですもの。それにあそこで襲われる分には、被害は最小限に食い止められます」
「そういう問題ではない、春麗が傷ついたらどうするんだ!いつでも助けられるわけではない!」
春麗は改造官服を上から着ながら
「叔父様の心配はわかりますけれど、もう少し続けて様子を見ます」
と言い切った。