茶都・月の宴−2
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バン!!
無言で扉を開き、ずかずかと足音をさせて入る。
中央の大机案に姿がないのを認め、そのまま奥の尚書室まで足を進める。
「鳳珠!」
呼びかけるのと扉を開けるのが同時となり、入ってきた姿を認めて仮面の下で眉間に皺を寄せる
「黎深、また断りもなく…」
だが小言は黎深の動きによって飲み込まれた。
鳳珠の腕を掴み、引っ張る。
「なにを呑気に仕事をしている、来い!」
「なんだ?」
「馬鹿か貴様は!今日がどういう日かわかっているのか?茶州州牧就任式の前日だぞ?なぜ羽林軍指南に行かせた!?」
鳳珠はハッとして立ち上がった。
それを黎深が何も言わずにぐいぐい引っ張っていく。
柚梨が心配そうに見送った。
その頃、春麗は羽林軍鍛錬場で軍なのか兇手なのかはっきりしない者たちの刃を躱しながら、紅色の鉄扇で順にのしていた。
チラリと傍観している者たちをみる。
(誰も助ける気はなし、と…)
藍楸瑛と隣にいた人が立ち上がったのが目に入った。
「あんた、よそ見している余裕あるのかよ?」
振りかぶってきた兇手をかわして姿勢を落とし、腹に鉄扇を打ちつけて気絶させる。
(先に倒した者が復活すると面倒だわ)
「藍将軍!とりあえずその辺の捕まえといてください!」
捕縛ぐらいは助けてくれるだろう。
残りの人数をさっとみる。
(あの大男と隣の細いのは手こずりそうだから、最後に残して先に軽いのから片付けますか)
もう一度扇を構えて
「それでは、いきましょうか」
と地面を蹴った。
あっという間に六人を倒す。
”細いの”と思った男が前に出た。
細いが男性、動きも早い。
速さで勝負する春麗としては、同じ戦い方の敵は厄介なものの一人になる。
思った通り速い相手に対し、春麗の速度も上がる。
この速度では大男はおそらく手出しができない。
一対一の勝負が長く続くかに思われたが、もう一段速度を上げた春麗が相手の背後に周り、首に扇を一太刀浴びせて相手は崩れた。
間髪入れずに大男が仕掛けてくる。
飛びのいて間合いを広げ、呼吸を整えて構えた。