茶都・月の宴−2
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就任式の前日
春麗の半月に一度の羽林軍指南、鍛錬場での講義のため、午は軽めにして戸部から移動する。
朝は鍛錬、午を食べて眠くなる時間帯に座学を入れる趣味はないが、両大将軍の指示だと従わざるを得ない
(今日はなんだか変な殺気が立ってるわね…)
気づかないふりをして、講義に取り掛かる
「本日は四回目の講義になりますね…あまり座学ばかりだと面白くないと思いますし、眠くなると思うので、少し実践に近い話でも…そうですね、今日は「虎韜」 の話でもしましょうか…話の内容に沿って皆さんに実技をしていただくのもいいかもしれませんね…」
大半の武官が興味深げに顔を上げた。
さっと視線を武官達に送り、殺気立っているものをめざとく見つけ、記憶していく。
ふと、藍将軍が面白そうな顔をしてこちらを見ているのに気づいた。
(うざっ…)と心の中で悪態をついてから
「わたくしはやりませんよ。初回にお話ししたとおり、私との鍛錬や勝負、実技はなしです」
ニッコリ笑って、では始めましょうか…と話し始める
本来だと休憩を挟むが、今日は休みを入れずに一気に話す。
一刻近く経ったところで
「それでは、わたくしが指名しますので、呼ばれた方は前に出てきて実演をお願いします」
10名ほど…先ほど記憶した者を座っている位置で指し示し、呼ばれた者達が前に出てくる。
彼らと十分に間合いをとった位置から、誰がどの手を実演するかを指定し、木刀を指し示して準備をさせる。
撃ち合い始めたのを見ながら、チラリと藍将軍の位置を確認し、視線を戻した時に、実演してきた1人の武官が二人、飛び出してきた。
春麗はさっとかわしながらさらに間合いを取る。
官服の帯を外し、背中に両手を回し、バッと引っぱり官服を脱ぎ捨てた。
それは羽林軍指南でいつか勝負になったら襲われたりした時用に作り替えた官服だった。
周りは一瞬、息を呑んだ。
下には、宋太傅と勝負していた時に着ていた、鍛錬用の服を着込んでいた。
懐から紅い扇を取り出し、左指で黄色い房をもてあそぶ。
ピン、と引っ張り目を細めたところで、十人が春麗を取り囲むべく動き出した。