茶都・月の宴−1
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週に二日、”王の補佐”の仕事は謎だった。
結局のところ、なんとなく行っているだけで、劉輝から何か直接聞かれることはあまりなく、大半が絳攸または藍将軍から考えを聞かれるだけだった。
「絳攸兄様、今日は少し二人で話したいのですけれど?」
「あぁ、構わん。府庫に行って話すか?」
「いえ、そこまでしなくても…その端の方で」
執務室の端にある椅子に腰掛けて、少し声を落として話をする
「わたくし、この役割を担っている意味ってあるのかしら?やめたい、という意味ではないし、わたくしの意見は絳攸兄様から伝えていただいているから問題ないと思うけれど、そもそも、わたくしが思いつくことなんて兄様も思いついているでしょう?」
ここのところまた考えていたことを伝える。
「そうとも限らないけれどな。春麗の視点はやはり俺とは違うから、いい刺激になっている」
「それを受けた主上はどうなのかしら?結構色々言ってきたと思うけれど、何か形になりそうなものはひとつもないし。兄様だけに納得してもらうなら、普通に吏部ででも話せばいいと思うけれど?」
「吏部じゃあの人がいるだろう?お前とそんなに話す余裕はないはずだ」
まぁ、確かにね…と春麗は頷く。
「何か気になることがあるか?」
「結局のところ主上は…戸部のみならず吏部や羽林軍、さらに礼部まで手を伸ばしてきたわたくしがどんなものか、見てみたかっただけなのかしらね?与えられたことを地道に頑張りたいのだけれど、ここだけは何を求められているのか、なかなか自分の中ではっきりしなくて…女人官吏制度を今回限りで終わらせるわけないはいかないから、しっかりと実績を残しておきたいと思うのですけれど、兄様はどう思われます?」
「俺は…」
絳攸は黙ってしまった。
(俺は、どう思っていたんだろう?)
「まぁまだ二ヶ月足らずですからね、もう少し時間をかけて、春の除目までに何か手をつけられるといいのですけれど」
春麗は答えない絳攸をチラリと見て、話を終わらせた。
(ふぅ…ここで話すより上奏文にしたほうが通りやすいかもしれせんね)
翌日の朝、考えていたことを珀明に話す。
「上奏文という形で、珀明さんと連名で出してみたいんです。どうかしら?」
「そうだな、一度やってみてもいいかもしれないな。いい勉強になりそうだ。下っ端だから仮に潰されても今なら影響も少ないし、何事も経験だな。時間のある時に午を一緒に取りながら話そう」
「ありがとう珀明さん。当面の間は府庫でお話ししましょう。あそこならあまり人が来ないからいいかと思うのだけれど、どうかしら?」
「あぁ、構わない。じゃあ早速今日から、午に府庫で」
こうして、春麗と珀明の計画は始まった。