茶都・月の宴−1
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茶州組が旅立ってふた月近くが過ぎた。
つまり、春麗の掛け持ち生活も、だいぶ慣れてきている。
朝は毎日、黄尚書邸からほど遠くないところで珀明と待ち合わせて、宮城に向かう。
”吏部尚書補佐”は黎深とのお茶以外さしてすることもないのだが、黎深が仕事をするようになったらなったで吏部は変わらず”悪鬼巣窟の吏部”であることは変わらなかった。
「全く、あいつら道中一つの連絡もよこしやがらずに!」
「珀明さん、だんだん吏部官吏らしく口が悪くなってきましたわね。尚書がお仕事されたら余計に忙しくなったように見えるんですけれど?」
「なんだろうな、あれ。全然仕事しないという話だったのに、週に少しだけやっているみたいなんだよ。大体お前が吏部にくる前後だな。ところで、いつも尚書室で何やっているんだ?」
(役割が果たせているならそれでいいんだけれど、実際はお茶してるだけなんていえないわね…)
「そう…ですわね。まぁ、色々?」
「紅尚書って身内なんだろ?」
「えぇ。あ、でも、秀麗は知らないのよ。だから内緒にしておいてね」
(しばらく会うことはないだろうけれど、大事なことだから言っておかないと!)
「なんだ、それ?」
「うん…色々あってね、わたくしは知っているんだけれど、秀麗は知らないの。だから言わないで欲しいのよ。あ、あと紅尚書にも言わないほうがいいわね」
「ふん、なんだかよくわからないが、わかった。あいつに黙っておけばいいんだろ」
「ありがとう、珀明さん」
「茶州組が旅立ってふた月近くね…」
話を思い出したように呟く。
「茶州は治安が悪いというし、道中まともだとも思えない。途中で無事を知らせるぐらいしてもいいんじゃないか!?」
「確かに…叔父様からも特に何も聞いていないわね。燕青殿と静蘭が着いているとはいえ、心配にはなるわね」
何か引っ掛かるものがあったが、話をしているうちに外朝に着いてしまった。
着いてしまえば仕事に没頭するのみで。
そんな話をしていたことも、そのうち忘れてしまった。