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小話1

ジャミルは激怒した。
必ずやあの能天気お気楽ポンコツを懲らしめねばならぬと決意した。
ジャミルには宴の良さが正直よくわからぬ。
ジャミルは箱入り息子の従者である。
毎日我儘に振り回されながら日々ドタバタ生活をしていた。
けれども──というか、なのでとにかく面倒ごとがないようにのんびり過ごすことを望んでいた。
なんなら今日の授業は14時までだったから、これから先は自由時間を謳歌するつもりだった。

「じゃ、頼んだぜ〜!」

だというのにこれである。
爆発寸前なジャミルに向かってこんなことをさらっと言えるのは主人であるカリムだけである。
ジャミルが何かいう前に、カリムは熱砂の太陽の如くカラッと笑いながら次の授業へと去っていった。
はぁーと大きなため息をつくのを聞く人間はいない。
……冷蔵庫に在庫はあっただろうか。
向かうはずだった図書館への足取りを無理やり持ち上げて、ジャミルはスカラビア寮へととぼとぼ歩き始めたのだった。



※試し作品です※
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