二章
体がどんどん重くなり、頭の動きも鈍くなっていくが、口を動かすことをやめることはできなかった。
それに、どんなに癒しの〈歌〉を歌ってやっても、彼女の心の闇を取り払ってやることはできないのだ。
それが妙にもどかしく感じ、そしてなぜもどかしく感じてしまうのか、クルーヤにはよくわからなかった。
「おい、私の養い子はどこへ言ったんだい! 返事をしな!」
ネイファの張り上げた声がし、クルーヤは木へと例を言い、〈風〉に周囲の状況を確認してもらってから、木の中を出た。
降り積もった雪の白さが一瞬目を焼く。冷風に身を縮めると同時に、ネイファとミリーナが視界に現れた。
「クルーヤ!」
「よかった、探したのよ!」
さらに後方からエランの姿も現れたが、クルーヤが確認できたのはそこまでだった。
また、〈歌〉を無理やり歌った反動が出てきてしまったのだ。
体が重い。頭が働かない。体の中から、力が虚空へと消えていく感覚。
(俺って、本当に弱いな……)
自虐を最後に、クルーヤの意識はすとんと眠りの中へと落ちていった。